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**ニッコン e-建設経営通信 【第210号】**
■ Question 1
設備の管理区分上、発注先は3社ですが、同一場所において施工する3建設工事を、当社が代表者であるJVとして受注することを考えております。
この3社からの発注を同一のJVが受注することは可能でしょうか?
また、監理技術者及び主任技術者は、建設業法施行令27条2項に記載されているように兼務出来るのでしょうか?
それとも、発注者毎に受注をする必要があるため、発注別にそれぞれ監理技術者又は主任技術者を専任で配置する必要があるでしょうか?
■ Answer 1
それぞれ異なる3社の発注者から同一JVが受注することは、発注者が了承していれば全く問題がありません(通常は発注者の了承は必要でないのですが、3社から全て受注することが事前にわかっていたら当該JVには発注しなかった、という考えもあり得るからです。
多分照会者もその点の懸念があったかと思われますが、それは法的な問題ではなく、各発注者に事前に一応話をしておくのがいいかという道義的な問題だけが残ると思われます)。
監理技術者又は主任技術者の専任義務に関連する問い合わせについては、次の通りです。
イ 主任技術者の場合:
「密接に関連のある2以上の工事を同一の建設業者(JVも含まれます)が施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる」(建設業法施行令27条2項)ことから、照会事例であれば兼務できるものと思われます。
ロ 監理技術者の場合:
「別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物に一体性が認められるもの(当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限る)については、これらの工事を一の工事とみなして、同一の監理技術者が当該複数工事全体を管理することができる(「監理技術者制度運用マニュアルについて」(平成16年3月1日通知)三(2)参照)ことになっています。
この通知によれば、今回の照会事例は、3つの工事の契約工期が重複するのか、工事の対象となる工作物に一体性が認められるか、当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結されているか、以上の要件を全て満たしている場合にかぎり、同一の監理技術者が3つの工事全体を管理することができることになります。
それ以外は、それぞれの工事に別個に監理技術者を配置する必要があります。
なお、照会のありました3件の工事の対象となる設備に一体性が認められるかについては、貴社の建設業許可行政庁に問い合わせてください。
■ Question 2
わが社ではすべての現場において工期短縮を目指し、現場における生産性向上についての研究を工事部門でスタートさせたところです。
現場の生産性を向上させるための考え方やポイントとはどのようなことでしょうか。
■ Answer 2
生産性向上の目的は現場生産活動の中に存在する『ムダ』や『ムラ』を排除し、日々の生産出来型の進捗と質を向上させるためのものであり、結果としては生産コストが低減されている状態を目指すことであります。
したがって、顧客ニーズは『早く』だけを求めているのではなく、『良いものを安く』が当然のこととしているため、工期短縮だけに焦点が当たった活動を指すものではありません。
1)生産性向上に向けて現場技術者の役割 〜段取り〜
現場の中で仕事を円滑に進める上で昔から言われていることで【段取り八分】という言葉があります。
作業を行う職人さんたちの成功の秘訣として伝承されていることだと思います。
その職人さんをはじめとする専門工事業者を使ってものづくりとしての現場を運営する技術者にとってはどうでしょうか?
作業そのものを専門工事業者に任せていることを考えれば、現場監督が現場を生産性良く円滑に進めるためには【段取り十分(じゅうぶ)】でなければならないと言えるでしょう。
当然、職人さんが言う【段取り】とは意味合いが多少異なる必要があります。
専門工事業者のいう【段取り】とは自らの役割とする作業そのものについて、その作業をこなすための【能力】よりも作業を効率よく進めるための【作業の下準備的なもの】の方が高い生産性を獲得するために大きな影響を与えるといったことを意味します。
現場を統括管理する技術者にとっての【段取り】は専門工事業者の作業の効率(生産性)を向上させるために、手戻りや手待ちを発生させない【計画】や【指示】といったことになります。
したがって、作業に関わる片付けや工具の点検、使用材料の搬入準備・荷揚げ間配りなどは専門工事業者が行うべき【段取り】と考えます。
○具体的に元請の技術者が行うべき【段取り】とは、
・ 現場の状況を調査し作業間調整の計画と関係業者への打ち合わせによる周知
・ 納まりなどが明確になった施工図の準備と指示
・ 仕上がりの程度などの品質基準の明確化と指示
・ 施主・設計事務所などの顧客側との懸案事項の解決と施工への反映
・ 近隣など外部環境に対する施工阻害要因の解決
・ 作業規制などの明確化と作業員への周知、点検結果の是正指示
・ コストダウンに結びつくための省力化施工改善による出来型と掛高計画
などといったことが考えられます。
すなわち、現場技術者が行う【段取り】が現場の生産性向上(進捗と質)に大きく影響することになります。
2)生産性管理業務の効率化と精度の向上
生産性の高い施工が現場で行われるためには、生産性を管理できる仕組みを持つことが必要になってきます。
その仕組みは、生産性向上の目標に整合した計画を文書として明確にすること。
そして、その計画が精度よく実行されるために生産性向上活動に対する管理(計画・実績の対比など)を徹底することが求められます。
日々の工事管理の中に生産性管理業務が効率よく適正な状態で行われるためには、目標に整合した活動が行われているかどうかの実態を把握するための管理帳票などを整備して、それを使用する役割分担を明確にして現場管理を行うことが重要なことになります。
「頭の中ではわかっているが、書類が増えてしまっては忙しくてとても出来ない」「現場としては生産性を向上させるための努力は常に行っている。ただ、記録に残していないだけ」 やらなければならないことに頭では理解できるが、気持ちのほうでは忙しさを理由に【求められる活動】を拒否しています。
頭の中で理解していれば、どのように忙しくても管理の対象への的確な活動が実行されているのでしょうか?
生産性の向上ということについては建設産業ではあまり重要視されてなく、特に元請側としては工業化による現場での省力化・工期短縮といったことへの追及は行われていますが、現場で扱われる数量(資機材、労務人工など)を管理して生産性を向上させる活動の実現には至っていません。
「わかっている」「やっているつもりだ」というのは実は何もやっていないということになります。
解っているとしながら管理の手抜きとなってしまっていることであり、実は大変だと言い訳にしている『管理帳票』を持たないこと、使用しないことこそが生産性を向上させるための管理活動の効率化や精度の向上を悪くしている。
つまり、現場における生産性の向上を阻害していることになります。
以上の2つのポイントから、自社としての現場における生産性向上のための業務チェックリストや管理帳票を策定して、すべての現場で標準的な活動が行えるように【業務改善】としての研究を行うことが重要であると思います。
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