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**ニッコン e-建設経営通信 【第219号】**
■ Question 1
最近、公共工事発注者が、工事受注者である元請業者が下請業者や資機材納入業者に不当に低い金額を押しつけていることが判明した場合、公正取引委員会に通報するという制度がスタートしたと聞きました。
不当に低い価格でも施工品質が確保されないなら、低入札価格調査制度や通常の工事成績評定の点数段階などでチェックすれば足りるのに、何故、公正取引委員会などに通報するのでしょうか。
官側が次第に民−民の取引関係に介入してくるようですし、昨今の規制緩和の流れに逆行しているようにも思えますが。
■ Answer 1
照会のあった事項に関連する通達は、国土交通省直轄工事を対象に平成18年12月8日に通知された「低入札価格調査制度対象工事に係る特別重点調査の試行について」で新たに実施することとなったものです。
まず、元請業者が下請業者や資機材業者にその強い立場を利用して不当に低い金額を強いるのは、独禁法の「不公正な取引方法」のうちの「優越的地位の濫用」に該当する違法な行為です。
しかし、実際には、優越的地位の濫用を理由として摘発事例はごくわずかであり(有料の賛助会員に無理やりさせたなどです)、特に低価格を強いるというケースでの優越的地位の濫用事例は、ほとんどありません。
やや現実離れをしていますが、あまりに低い提示価格であるなら下請業者や資機材納入にならなくてもいいのではないか、という論理がその壁となっているのです。
たしかに、優越的地位の濫用で公正取引委員会に申告する下請業者は、その後元請業者に完全に睨まれてしまうことは避けられないことから、これまではほとんど適用事例がなかったのです。
一方、公共工事発注者からみれば、元請ー下請間などの取引価格は、低価格入札調査制度で対象にすべきものですし、もし下請が安かろう悪かろうを地でいくような施工をした場合は、元請業者に全面的に責任を問うことが出来る仕組みが会計法などで整備されています。
それにもかかわらず、公共工事発注者が元請業者と下請業者あるいは資機材納入業者との取引価格について、一歩踏み込んだ対応を取らざるを得なくなったのは、ひとえに、最近の落札率の急激な低下です。
結局、低価格入札調査制度の運用ではなかなか排除できないため、発注者として、低価格入札調査制度の運用で知り得た範囲内で優越的地位の濫用にあたると思われるケースについては、下請業者や資機材業者とは別に公正取引委員会に通報するとしたものです。
むしろ、建設業界の上流と下流の混乱が一向に収まる気配がないため、公共工事発注者が、第三者の立場でやむを得ず公正取引委員会に通報する仕組みを作りらざるを得なかった、というのが真相に近いのではないでしょうか。
■ Question 2
近年では小工事物件の増加など「一現場、一人社員」の傾向や、まだ若い主任クラスに現場代理人として任せていることがほとんどです。
部門長自ら極力、まだ不十分と思える代理人への運営支援を行っていますが、竣工間際の現場をまとめ上げることに追われ、部門全体の業績管理や結果が不十分になってきています。
このような体制の中、部門運営を改善するにはどのように考えればよいのでしょうか?
■ Answer 2
企業経営の目標とする数値計画の達成は工事部門の利益獲得計画が達成されたか否かに懸かっています。
そして、その部門目標が達成できるか否かは個別の現場の成果に懸かっています。
一人一人の現場担当者に工事(現場経営)を任せる訳ですから、全ての現場でうまく活動できることは保証されません。
部門としては与えられた大きな目標を達成させるために、任せた現場担当者それぞれがバラツキのない標準化された利益獲得活動が行なえるように、常に現場と交流し、指示・指導などの支援を行なうことが出来る業務体制を確立することが必要になります。
一人に1台のパソコン使用が当たり前になっていることで、以前より情報を引き出すことや特定の相手に伝えることが手段として大変便利になりました。
現場成果獲得の基本は現状の進捗過程が明確化され、目標達成のための対策をタイムリーに実施することでありますから、このような情報交換がスピーディに行なわれる環境は大変好ましいといえます。
引継会、施工検討会、実行予算審査会といった部門支援を通して個別現場への関与が行なわれた後は、現場担当者に利益獲得業務を任せることになります。
任された現場担当者はバラツキのない利益獲得活動を実行するために、電子メールやその他のネットワーク環境を利用することによってタイムリーに部門と連携(情報交流)を行なうことが必要になってきます。
部門との情報交流として考えられること
・注文伺い:(発注稟議)発生原価の要因と、コストダウン発注を実現するための特殊条件の明確化や購買差益による獲得工事利益の上乗せの報告を行なう ※購買ルールにも関連
・原価変動報告:『協議書』などを使用して、追加工事や変更工事などの発生時による原価変動の報告と、予算と利益の予測、利益獲得への活動予定、仮注文書を使用しての工事の着手などの具体的な報告を行なう
・予算管理報告:『原価管理表』などの月次の報告によって、利益獲得の進捗状況、今後発生原価への改善目標、最終の達成利益予測などの報告を行なう
・改善指導:工事部門としての工事中の原価パトロールや検討会を実施して、現場の利益獲得課題の明確化により活動目標を現場担当者に指導するとともに、活動の結果報告を実施させる
・工事データ報告:『竣工会議』などによって、各工事の中で確認された生産性データや、改善事例、下請情報(評価)、顧客関連情報などを竣工時の利益獲得関連情報として報告する
現場での目標に対する活動とその成果に関する施工データの報告により、部門が現場に対する【支援業務の精度の向上】が可能となります。
組織と現場の連携により【組織を強化する】【現場への支援力を向上させる】といったような相乗効果としての期待が生まれてきます。
ISOなどで業務規定をされている企業がほとんどですが、実際には業務として十分に生かされていないのではないでしょうか。
どの現場も同じように成果を獲得できることを目的として、経験に格差のある技術者でも「しっかりと任せられる仕組み」として機能させることが重要になります。
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