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鋼材高騰が利益圧迫,見積り拒否 単品スライドの適用も 全建調査20080501建設通信
全国建設業協会(前田靖冶会長)が鋼材など資材価格高騰の影響を緊急調査した結果、鋼材の値上がりが会員各社の利益を圧迫していることが分かった。資材業者からの値上げ要求が一番の問題で、会員からは「納入時期に改めて単価設定される」「資材業者、商社から、鋼材の急激な値上がり途中であることを理由に見積もりを拒否される」といった声が上がった。資材の入手難で工期にも影響が出ており、単品スライド条項の適用を発注者に求めざるを得ない切迫した状況が浮き彫りになった。
調査は、国土交通省直轄工事のうち、ことし2、3月に契約し、継続中のものを対象に実施した。資材調達については「4月から鋼材関係が5%値上がった」「鉄筋は年始から大幅な値上げ(40%)を要求された」「鉄筋は原材料のスクラップが不足している。今後1t当たり12万円まで上がるのではないか」と価格高騰を訴える意見が出た。
また、「注文どおりの納期は不可能」「鉄筋は納期が3カ月で、それより先の納入では契約してくれない」「鋼矢板は納品まで4カ月くらいかかる」「資材の入手難により、標準工程より1−2カ月工期が遅れるため、その間の現場管理費も増加する」と工期への影響を懸念する声も上がっている。
既にスライド条項の適用を申し入れている会員もいるが、全体の価格上昇に対応するスライド条項は、「1年未満の工期ではスライドは不可能」などと適用条件を満たしていないことを理由に発注者に却下された事例があった。発注者からは「一時的なものなので考えていない」「非常に難しい」「今年度のスライド措置は検討していない」とする回答があったという。
一方、単品スライドについて会員企業からは「出先事務所に申し入れ、地方整備局で検討中」「設計変更協議中で、納期がずれ込む場合、鋼材契約単価の変更の可能性がある」などと発注者が回答したとしている。
会員からは「設計価格と購入価格との大きな差異は正常な利益確保に多大な影響を及ぼす」「鋼材価格の大幅な上昇はもはや自助努力による吸収が困難」「利益はおろか、赤字工事になることを恐れながら工事を進めている」との窮状とともに単品スライド条項の適用を強く求める声が上がっている。このため、全建では全体的なスライドではなく、単品スライド条項の適用を国交省に要請していく見通しだ。
4月に開かれた自民党の中小企業調査会(金子一義会長)のヒアリングに対し、全建は「公共事業の削減、貸し渋りなど資金調達の問題などもあって“塗炭の苦しみ”にあえいでいる」と訴えた。地方建設業の総資本経常利益率は、この2年ほどで悪化しており、これに改正建築基準法施行による建築確認の遅れ、鋼材を含めた資材価格の高騰が重なり、疲弊は極限に達しているのが現状だ。
全建の鋼材価格の高騰を踏まえた緊急調査は、04年3月に続き2度目で当時も単品スライド条項の適用を国交省に要望したが、価格高騰が収束したため実現しなかった。今回は、当時と状況が大きく異なり、一刻も早い単品スライド適用基準の明確化が求められる。
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