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**ニッコン 建設経営通信 【第255号】**
■ Question 1
当社は、これまで公共建築工事の請負を中心として営業していましたが、昨今の発注減は、年々厳しさを増すばかりです。
そこで、当社の余剰人員の活用を図るため、新分野への進出を考えていますが、どの分野に進むべきかよく分かりません。
例えば、これからは高齢化の影響でマンション居住の割合が高くなってくるということをよく聞きますが、我々建設業者でも進出できるような分野があるのでしょうか。
■ Answer 1
たしかに、マンション居住者は年々増加しており、全国では平成19年度末ででは、約528万戸(居住人口約1,300万人)と総人口の約1割に達しています。特に都市部ではマンション居住は、すっかり定着してきています。
このマンションは建築段階は当然として、次の管理段階でも建設業者が進出できる分野があります。しかし、いうまでもなく、それぞれの分野には、既に専門業者がそれぞれ存在していますから、それらとの厳しい競争に打ち勝つことが不可欠となります。
1.マンション管理業者としての分野
マンション管理適正化法に基づく登録業者は、全国で2374社(平成20年3月末現在)ですが、内訳は、マンションの分譲業者の子会社あるいは系列系の管理業者か、いわゆる独立系の管理業者に分かれ、それぞれに大手、中小、地場と存在するのは、建設業者同様です。
マンション自体は年々増加していますが、マンション管理業者はここ最近数年伸び悩みで、むしろ撤退する企業が目立っています。
この業界も、ほとんどが人件費という業特有の問題を抱える中で低価格競争の波に洗われており、また、適正化法による行政当局の監督も強化されているいるところです。
2.大規模修繕工事業者としての分野
マンションは経年劣化、使用劣化により定期的に大規模修繕工事を実施して建物の健全さを確保する必要がありますが、その大まかな工事金額は、長期修繕計画によりますと、例えば100住戸のあるマンションでは、10年間で最低約1億円以上を積み立てておく必要があるなど、結構大きなマーケットです。
主な工事種別としては、外壁塗り直し、屋上防水の補修工事、配管補修などでが、もっとも、マンションは管理組合という区分所有者の団体が主体となって発注しますので、単独発注者とは異なった苦労があります。
そのため、管理組合への営業では、基本法である「建物区分所有法」や「標準管理規約」などの理解が不可欠です。
■ Question 2
私は、ある中堅建設会社の営業担当者です。
私どもの対象とする案件で、国の工事はすべて「総合評価入札制度」が適用されているようです。
弊社の技術者は「施工計画の書き方の巧拙次第で、技術が評価されるのでは、国語の勉強からやり直しだよ。」とぼやきます。なにか効果的な勉強方法はないものでしょうか?
■ Answer 2
「・・・略・・・文書を上手にまとめられる技術者は、工事内容の把握が早く、工程管理、現場管理、書類整理等も優れていると考えられます。」ある自治体の「簡易型総合評価方式の手引き」にある文章の抜粋です。
意味深く、またご質問へのひとつの回答であるとも思いますのでご紹介します。
ここで間違えてはいけないことは、発注者が求めているものは、国語力のイメージが強い「作文」「小説」の類ではないということです。「技術文章の書き方」を作文の延長線上とイメージしている方が多くいますが、これは間違えです。前者は、書き手の思考したことを読み手にどれだけ感動的、共感的に伝えるかにその意義があるのに対し、後者は、書き手の意志と提案が読み手の要求に応え、合理的に納得させることができるかにその意義があるのです。
したがって、「技術文章を書く」ためには、読み手の要求をいかに理解するかがすべての始まりなのです。この要求は、素人の要求ではありません。技官として論理背景を持っています。その読み手の論理を推測する方法を、まず身につけて欲しいものです。
そのためには、VE(バリュー・エンジニアリング)が有効だと思います。
VEでは、「それは何か?」、「その働きは何か?」と質問し、その答えを無心に考えて目的を理解しようとします。目的が分かったら、あとはその目的達成方法を探すのです。
例えば「何故ここで、○○を使用しなければならないのですか?」と質問します。皆さんは、「設計図書に、ここに○○を使用するとあるからだよ。」と答えて疑問にも思わないでしょう。実はこの質問に対し無心で「それは、近隣への騒音を低減するため」という答えが出たとします。これが「読み手の要求(目的)の一つ」です。この目的が分かれば、対策はいくつも考えられるはずです。その対策の中から最も効果的なものを選択すればよいのです。そしてこのことを思考過程に沿って文章化し、整理すると、1)目的 2)対策 3)期待する効果 という文章構成(まだ文書の一部です)が生まれます。
つまり「読み手の要求に応えた文章=技術文章」です。先人曰く、「目的を理解している人は仕事ができる。」。このことが「文章力も技術力」として、先にご紹介した「簡易型総合評価方式の手引き」で言いたいのではないかと考えます。
ここでご紹介した考え方は、まだまだ一部分ですが全体の核心部分でもあるのです。是非一度試してみてください。
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