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ダム見直し:川はんらんも想定 利害調整、基準作りに課題20100709毎日
ダム事業の見直しに向けた手順案をまとめた国土交通省の有識者会議は、ダムなしの代替治水策を作るための25の治水手法を示した。だが、半数以上の手法は、浸水の恐れがある地域の土地利用規制や水害保険など、川から水があふれることも想定した手法。人口や資産が川沿いに集中して発展した日本では「水は川に閉じこめて海に流す」のがこれまでの治水の考え方だった。国交省幹部は「あふれることも想定するのは180度の転換」と指摘する。【石原聖】
ただし、ダムごとに周囲の環境や計画の経緯は異なる。大規模河川であれば関係自治体が増え、上流と下流の利害も相反する。統一の物差しで代替策を作り、コストが低い治水策を見いだす作業は困難を伴う。水があふれることも想定した対策を首長や川沿いの住民が受け入れるのは容易ではなく、有識者会議では「比較の結果、やはりダムがいいとなるのでは」との意見も出た。
国交省幹部は「経済規模や国家機能が集中する流域とそれ以外で扱いを変えるのか、という線引きの問題もあり、今後議論されるのではないか」と推測しており、整理すべき課題は多い。「できるだけダムに頼らない治水」への転換がスムーズに進むかは未知数なのが実情だ。
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◇有識者会議が示した代替治水手法例
▽ダムの有効活用=既設ダムのかさ上げやダム間での容量の振り替え、操作ルールの見直しなどで洪水調節能力を高める。
▽放水路=河川の途中から分岐する新河川を開削し、海や他の河川に流す。
▽引堤=現在の堤防の外側に新堤防を建設し、現堤防は撤去することで川の流量を増やす。
▽堤防のかさ上げ=堤防の高さを上げる。ただし決壊した場合の被害は、現状より大きくなる恐れがある。
▽洪水の予測、情報の提供=住民が的確で安全に避難できるよう、洪水ハザードマップの公表などを行う。
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