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「原発ゼロ」 CO2削減に足かせ 「再生エネ」実現性乏しく前途多難 20120820SankeiBis
政府による中長期的なエネルギー・環境政策の策定が大詰めを迎えている。政府は6月末、2030年時点の総発電量に占める原発比率を「0%」「15%」「20〜25%」とする3つの選択肢を提示。各選択肢について温室効果ガスの削減効果や、再生可能エネルギー普及に必要な施策を列挙した。国民からの意見聴取会などでは2030年時点で「原発ゼロ」を求める声が強い。ただ、いずれの選択肢でも、温室効果ガス削減で鳩山由紀夫政権が国際公約した「2020年に1990年比25%削減」は達成できず、再生エネ普及策も実現性に乏しい。前途は多難だ。
◆依存高まる化石燃料
「『日本は脱原発するから温室効果ガス削減は甘くなります』では国際的に通用しない。本当に原発を止めるなら、相当強制的な省エネを強いることになる」。経済産業省関係者はこう語る。
原発ゼロを選択した場合、現在よりも化石燃料依存度が増加して安定供給が損なわれるうえ、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減効果も低下する。削減効果は30年時点で90年比23%減、20年時点では0〜7%減にとどまり、鳩山政権の公約は達成できない。
さらに、原発を一切使わず、火力に頼りながら温室効果ガスを削減するとしたら「広範で強制的な省エネを受け入れる覚悟」(経産省幹部)が求められる。現時点における政府の想定では、省エネ性能に劣る空調機器や住宅、ビルの改修が義務付けられるほか、市街地へのガソリン車の乗り入れが禁じられる可能性が高い。ストーブなど熱効率の悪い暖房機器の販売禁止や、重油ボイラーの使用禁止も視野に入る。
原発ゼロでは、原発を代替する再生可能エネルギーも“強制的”な普及が必須だ。
10年時点で太陽光パネルは約90万戸に設置され、38億キロワット時の発電量があるが、原発ゼロではその約19倍の721億キロワット時の発電量を確保する必要がある。パネルの性能向上を加味しても約1200万戸に設置しなければならず、屋根が弱い住宅に補強工事をさせてでも導入することになる。風力も、現在の用地は東京都の面積の10分の1程度だが、原発ゼロなら都の2倍の面積を確保し、風車を林立させる必要がある。欧米に比べて平野が少なく、山間の土地が多い日本列島では、用地確保は「実際には困難」(同)。
一方、原発を20〜25%維持するとした場合、温室効果ガスの削減効果は30年時点で90年比25%減、20年時点では10〜11%減。鳩山公約には届かないが、化石依存度を減らすこともできるため「着実かつ経済的にCO2排出削減を進められる」(国家戦略室)。
再生エネの普及でも、原発ゼロのような強制的な政策はほとんど不要で、省エネ住宅の税制優遇や次世代自動車の導入支援などでとどまりそうだという。
◆政府戦略見直し必要
とはいえ、福島第1原発事故を受け、脱原発依存を求める声は強い。政府は今回のエネルギー・環境戦略の策定にあたり、重要な視点として(1)原発の安全確保、将来リスクの低減(2)エネルギー安全保障の強化(3)地球温暖化問題解決への貢献(4)コスト抑制、産業空洞化防止−を掲げている。
どの視点に立っても、すべての条件を完璧に満たすエネルギー源は存在しない。原発、火力、再生エネなど多様なエネルギー源を有効活用しながら、シェールガスやメタンハイドレートなど将来有望な新エネルギーの確保を進めることが重要だ。
政府は今回の国民的議論を踏まえて、9月上旬にも30年までの「革新的エネルギー・環境戦略」を取りまとめるが、日本はエネルギー戦略を不断に見直す必要がある。(渡部一実)
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■2030年時点のエネルギー政策「3つの選択肢」
【電源構成】 2010年 ゼロ% 15% 20〜25%
実績 シナリオ シナリオ シナリオ
原発 約26% 0% 15% 20〜25%
再生エネルギー(太陽光、風力、水力等) 約10% 35% 30% 30〜25%
火力(石炭、LNG、石油) 約63% 65% 55% 50%
【温室効果ガス排出量(1990年比)】 − ▲23% ▲23% ▲25%
※政府のエネルギー・環境会議資料より作成
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化石燃料の輸入で貿易収支は悪化し、ドイツでも再生エネルギーの買取が高すぎると下げる提案を政府がし、思惑では増えるはずの内需も中国の安いパネルに押され国内パネルメーカーが破綻する。さらには反原発を選択したイタリア経済に回復の兆しはなく失業は若者に広がり、スペインも瀬戸際状態である。「ゼロ」などありえない、少なくとも25%は絶対必要で、増える需要を再生エネルギーに切り替えるくらいである。
2012/8/22(水) 午前 6:23 [ 一陽来復 ]