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コンクリートをねばり強く補強、新耐震構造の確立へ20121003

 清水建設と防衛大学校、三井化学産資(東京都文京区)は、従来の耐震補強の概念を変える新たな補強工法「タフネスコート」の共同開発に着手していることを9月27日に発表した。

 タフネスコートは、コンクリート構造物などの表面にポリウレア樹脂を薄く被覆する補強工法だ。ポリウレア樹脂は構造物の防水などに使われる素材で、延伸性と復元性に優れる。ポリウレア樹脂が構造物全体のじん性を向上させ、ねばり強い構造を生み出す。

 炭素繊維を巻き立てたり鋼板を接着したりする従来の補強工法のように、既設構造物との合成構造で地震などに耐えるのではない。タフネスコートが目指すのは「形状保持構造」だ。大きな変形を伴う外力が構造体に繰り返し発生した場合、鉄筋コンクリート自体は破壊しても、ポリウレア樹脂を塗った構造全体で形状を保持する考え方だ。

 施工方法は、コンクリート表面に吹き付けるだけ。30秒で硬化し始め、約30分で補強効果が現れる。炭素繊維巻き立て補強工法と比べて、工期を約5分の1に短縮でき、材工共の費用を半分程度に抑えることができる。

 形状保持構造を実現するための鍵となるポリウレア樹脂は、200%の伸びに追従し、ゴムよりも大きな24MPaの引張強度を持つ。そのため復元力も備えている。清水建設ら三者は、これらの特性に注目して2年前からコンクリート構造物の補強工法として適用できると考え、共同開発を進めてきた。

たわみ量80mmでも破壊なし

 清水建設らは基礎実験によって、タフネスコートの効果を実証している。ポリウレア樹脂を2mm被覆した鉄筋コンクリートの供試体に、準静的載荷試験で荷重を掛けたところ、試験装置の限界であるたわみ量80mmでも破壊することはなかった。

 一方、樹脂塗装なしの鉄筋コンクリートで同様の試験をしたところ、たわみ量40mmを超えたところで破壊した。ポリウレア樹脂を被覆した供試体は、ひび割れを分散し、局所的なひび割れの集中を抑制していた。

衝撃に対しても強いタフネスコート
 さらに、地震や津波などの動的荷重に対しての補強効果も実験で実証済みだ。

 9月27日に実施した公開実験では、2mm厚でポリウレア樹脂塗装を施したU形側溝と樹脂塗装なしのものを用意して、人がハンマーで打撃を加えた際の破壊状況を比べた。樹脂塗装なしのU形側溝が2度の打撃で破壊されたのに対して、樹脂塗装したU形側溝は数十回打撃を加えても形状をほぼ保っていた。

 清水建設は今後、基礎実験を続けるとともに、床版や壁の剥離防止などへ、タフネスコートの適用を図る。さらに、3年以内をめどに高架橋などへの大型構造物で使用できるような設計手法の確立を目指す方針だ。レベル2地震動に耐えられない構造物の耐震性アップや、既に耐震補強してある構造物にプラスアルファの耐震性を持たせることなどを視野に入れて実用化を目指す。


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