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前方探査にボーリング振動利用/山岳トンネル 弾性波速度把握/大成建設20130408建設通信
大成建設は、山岳トンネル工事で先進ボーリングを実施する際に、先端の掘削ビットから生じる振動をとらえ、切羽前方に潜む破砕帯などの位置や規模を事前把握する探査法を確立した。穿孔振動が、トンネル側壁の奥に埋め込んだ受振器に到達するまでの時間から、掘削区間ごとの弾性波速度分布を明らかにする。これまでに、2件の道路トンネル工事現場で実証実験を行い、予測値と実測値の比較によって有効性を確認した。
山岳トンネルの事前調査で行われている地表からの弾性波探査(屈折法)は、土被りが大きくなるにつれて探査精度が下がる。地表で断層の存在を発見できても、それが地中をどの方向に進んでいるかまでは詳細に把握できない。そこで、切羽周辺の情報を精度よくとらえるには、施工中の切羽からの前方探査が有効となっている。
切羽前方探査の一つの先進ボーリングによる穿孔検層法は、切羽からの湧水を事前に排出する水抜き効果が期待できることもあり、多くのトンネル工事で適用されている。同法では穿孔時の機械データから、単位体積当たりの岩盤削孔に要する穿孔エネルギーを求めて岩盤を評価する。
しかし、切羽断面に対して評価部分が局所的になり、得られるエネルギー値と既存の岩盤分類との対応をとるのが難しいという課題もあった。
そこで大成建設は、石油資源探査で使われている「SWD」という技術をトンネルに応用。先進ボーリング時に、支保設計で用いられる切羽前方の弾性波速度分布を評価する新たな探査法として「T−SPD」を開発した。
トンネル側壁に4mほどのボーリング孔を掘削し、孔中に受振器を設置する。これにより、削孔機械自体の振動などを拾わずに済む。先進ボーリングに先端打撃式のウオーターハンマードリルを使い、さらなるノイズ低減も図る。
探査では、ボーリング中に掘削ビットから生じる振動(直接波)が、受振器に到達するまでの時間を解析し、一定区間ごとの弾性波速度分布を導き出す。実証実験では、切羽から20m付近に低速度帯と高速度帯の境界を事前に予測することができ、実測値ともおおむね整合がとれた。
T−SPDの採用により、切羽前方に存在する不良地山への対策をあらかじめ準備できるため、掘削時の安全性や施工効率の向上につながる。同社は先進ボーリングを行う山岳トンネル工事に、積極的に適用していく方針だ。
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