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新緩和策の副作用、混乱長期化も サーキットブレーカー発動201230409SankeiBis
新たな金融緩和に基づく日銀の国債買い入れが始まった8日、国債先物相場は急上昇した。東京証券取引所は混乱を抑えるために売買を一時停止する「サーキットブレーカー」を発動した。大規模緩和の“副作用”が現れた格好で、市場関係者からは相場の混乱は長期化するとの見方も出ている。
売買の停止後は、買いの勢いがやや一服。長期金利の指標である新発10年債の利回りは、前週末終値に比べ0.010%低い(価格は上昇)0.520%だった。
発動は金融緩和強化が決まった翌日の5日に続く。この時は買い注文が殺到し、長期金利が史上最低の0.315%に低下した後、0.620%まで上昇。乱高下により売買は2度停止された。背景には、日銀が毎月7兆5000億円の国債買い入れを決めたことがある。予定する購入額は、毎月の国債発行額の約7割の規模で、その影響の大きさを市場が測りかねているようだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「日銀のオペレーション(公開市場操作)の内容などを見極め、適正水準について市場参加者のコンセンサスができるまで、値動きの荒さは続くだろう」と指摘する。
5日に「壊れた債券市場」という刺激的な題名のレポートを出したみずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「不安定化した債券相場は、市場を人為的に操作しようとする日銀の手法に対する警告だ」と強調。
中長期的には、国債消化が円滑に行われる安心感が、財政規律の緩みにつながる懸念もあるという。
日銀の金融緩和は円安株高を一段と進めており、評価する市場関係者が多い。金利下落も、住宅などへの投資拡大につながる一方、投資家の国債の持ち高を減らし、他の資産にシフトさせる可能性がある。
その場合、株や不動産などの資産価格の押し上げ要因となり、デフレ脱却を後押しする。
SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは「資産価格が上がっても、実際の国力との差が大きくなれば、いつかはそれが修正される」と実体経済に波及しなければバブル景気の再来になりかねないと指摘。政府による成長戦略や財政健全化への取り組みが、これまで以上に求められそうだ。(高橋寛次)
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