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「アベノミクス戦略特区」でインフラ運営権を民間売却20130425日経コンストラクション
政府の産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)で、首相をトップに制度改革を進める「アベノミクス戦略特区」の創設が持ち上がった。特区で拡大を狙うのは、インフラのコンセッション(国などが公共施設の所有権を持ったまま運営権を民間に譲渡する方式)だ。
4月17日に開いた第6回会議では、竹中平蔵慶応大学教授ら民間議員が「アベノミクス戦略特区」(高度規制改革・税制改革特区)の創設を提言。東京、大阪、愛知などを中心に、これまでとは次元の違う制度改革を実施すべきだと指摘した。
具体的な項目として、港湾の民営化や有料道路のコンセッションを挙げた。新藤義孝・地域活性化担当相も、首相の主導による「国家戦略特区」の創設を提案。安倍晋三首相は「特区制度の活用に光を当てる」と、創設に前向きな姿勢を示した。
アベノミクス戦略特区の項目例(インフラ関連の項目を抜粋)
(東京都)
・地下鉄の一元化、都営交通の24時間化
・統合型リゾート
・容積率や用途規制の緩和
(大阪府・大阪市)
・港湾の競争力強化のための民営化、広域管理
・統合型リゾート
(愛知県)
・有料道路事業のコンセッション
・公道での自動走行実験
(資料:産業競争力会議)
「数十兆円規模の財源を創出できる」
安倍首相は公共インフラについて、「財政規律を維持しつつ、効率的に機能を確保するためにも、民間活力を最大限活用することが重要だ」との認識を示す。竹中教授らは、利用料金を伴い、コンセッションの導入が可能なインフラの資産規模が全国で約185兆円に上り、それらの民間開放を進めると、少なくとも数十兆円規模の財源を創出できるとしている。
竹中教授らは、コンセッションの拡大が日本の建設産業の競争力強化につながるとも指摘した。国内にインフラ運営市場が存在しないことから、建設産業の国際競争力が低いと分析。民間企業にインフラの運営権を付与して国内での経験を蓄積させ、業界再編による集約化を進めれば、海外インフラ市場で勝負できる企業の育成につながると提案する。
業態を変えて成長した海外企業の例として、スペインのフェロビアル(本社:マドリード)を挙げた。約7万人の従業員を擁し、15カ国で事業を展開する同社は、英国のヒースロー空港などの運営で知られる建設会社だ。
会議では、インフラの老朽化対策も議題に上った。安倍首相は「老朽化は世界共通の課題。世界市場獲得も視野に、IT(情報技術)やセンサー、新素材などの技術の活用や開発を進め、安全性確保や長寿命化、維持管理コストの合理化を実現したい。こうした技術を前提に、インフラを長期にわたって、効率的・経済的に管理する『インフラ長寿命化計画』の策定を推進したい」などと語った。
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