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液状化を防ぐ「地中に森」工法、間伐材の使途にも20130529日経コンストラクション

 液状化対策と炭素固定効果の二つを両立させる──。そんなコンセプトの下、地盤に丸太を打設して、液状化を抑止する工法の確立にいち早く名乗りを上げたのが、飛島建設と兼松日産農林、昭和マテリアル、高知大学の4者だ。

 2012年度に林野庁からの補助金を受けて、現場での施工試験や大型模型振動実験を行って液状化対策の効果を実証。千葉県の木更津市や浦安市、長野県諏訪市などで施工試験した結果、N値23程度の硬い地盤や細粒分が比較的多い砂質土でも、丸太打設工法を適用できることを確認した。

 開発メンバーの一人である飛島建設技術研究所第三研究室の沼田淳紀室長は、「丸太打設工法の適用対象は公園やグラウンド、戸建て住宅などの敷地、駐車場、盛り土など。重要度があまり高くない施設での液状化対策をまずは狙っている」と話す。

想定外の地震ではフェールセーフに
 「液状化対策」と「丸太」の組み合わせは、木材の短所を消し長所を生かすという最適な効果を生む。

 燃えやすさや腐りやすさをはじめとする木材の主な短所は、地下水位以下に圧入すれば消える。木材の品質のばらつきは、密に打設すれば解決できる。

 一方、炭素を固定できる点や加工しやすい点をはじめとする木材の長所は、損なうことなく生かせる。さらに、木杭の歴史はコンクリート杭や鉄杭の誕生よりも古いので、実績を重視する建設分野では採用を後押しする要素として働く。日本各地に森林があり、安定供給が可能な点も有利に作用する。

 周辺に与える環境負荷も小さい。宅地保有者には、セメントや薬剤などを「異物」と捉え、地中に入れることに抵抗を感じる人は少なくない。木材であればその抵抗感は小さくなる。

 想定外の地震動が発生した場合に、地盤内の丸太がフェールセーフの役割を果たすことも実験で分かった。周辺地盤と比べて相対的に重いコンクリート杭などは、液状化すれば沈む。一方、丸太は液状化しても浮力が作用して沈まない。丸太はほぼ定位置に残るので、一種の杭の効果を発揮して建物を支えるというわけだ。

「地中に森林を」

 これらの長所のなかでも、沼田室長が特に強調するのが炭素固定効果だ。「丸太を打設すれば、地中に森林ができたのと同じ効果を持つ。伐採した箇所は新たに植林できるので、二酸化炭素の削減効果は非常に大きい」。

 とはいえ、重機を使って丸太を打設するのだから、多くの二酸化炭素が排出されて炭素固定効果を打ち消し合うのではないかという疑問が出てくる。その問いに答えるのが下のグラフだ。

 飛島建設が浦安市舞浜で実施した丸太の打設試験において、丸太が保有する炭素量と施工などで発生した二酸化炭素量の関係を表している。排出量は育林から間伐、加工、運送までの分を考慮している。

 丸太の二酸化炭素貯蔵量に比べると、打設に使用する重機の排出量は少ない。育林や現場搬入などに要した排出量がやや大きいものの、直径16cmの丸太を2本継いだスギ材で長さ8mの杭を264本打つ試験施工のケースでは、二酸化炭素の総排出量は貯蔵量の2割に満たない量だった。約100m2の土地で対策を講じたケースだ。

さらなるコストダウンを図る

 飛島建設らは実証実験などを経て、設計法や施工法も確立した。地盤のN値に対する丸太の打設間隔や改良率の計算では、日本建築学会が発行している「建築基礎のための地盤改良設計指針案」に準拠して設計法を生み出した。

 施工では、油圧式の杭打ち機を改良した専用機を使用。基本的には鋼管を回転させて先行掘削し、そこに丸太を圧入する。鉄筋の丸鋼をピン方式で丸太に差して継ぐ方法も確立した。

 浦安市が12年度にまとめた「市街地液状化対策実現可能性検討調査報告書」の試算によると、更地での丸太打設に掛かる施工費用は1棟当たり550万円。20棟一括で施工した場合の数字だ。一般住民にとっては、まだまだ建設費は高い。

 ただし、沼田室長は「12年度までは実用化することが目標だった。設計法や施工法の改良を重ね、今後、さらなるコストダウンを図る予定だ」と意気込む。

土木の木材使用量4倍を目標に

 一般的に丸太打設工法に使用する直径14〜16cmの樹木は、材齢40〜50年ほどで、日本に最も多く存在する。同工法に適用可能な木材は豊富にある。

 森林の整備が進まない現状を危惧する林野庁は、丸太打設工法に期待を寄せる。土砂災害や水害を抑制するには森林の適度な間伐が必要で、その間伐を後押しするには、木材の活用先を創出しなければならないからだ。液状化対策での丸太利用はその有力候補の一つとなる。丸太の活用促進は、ひいては林業の活性化にもつながる。

 土木学会木材工学委員会は13年3月、20年までに土木分野での木材使用量を現状の約100万m3から400万m3に増やすという提言を発表した。土木工事で、木材を活用する機運は高まりつつある。

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