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清水建設ら/新型制震システムの採用好調/長周期に効果、設置個所3分の120140124建設工業
清水建設などが開発した「ダイナミックスクリュー」と呼ぶ制震ダンパーを使った制震システムの採用が順調に進んでいる。ダンパーは、揺れの力を回転運動に変換し吸収する機構を備える。一般的な減衰ダンパーと比較すると、設置個所が3分の1程度で済み、設置工事を低層階に限定できる。12年夏に清水建設旧本社のシーバンスS館(東京・芝浦)に設置して以降、長周期地震動の揺れ抑制を含む地震対策として、複数の超高層ビルや中低層の生産施設に採用されている。
ダイナミックスクリューは、日本精工、カヤバシステムマシナリー、平和発條と共同開発した。ボールねじ、ボールナット、回転する重りが入っており、一般的なダンパーと同様に柱と柱の間に設置する。地震が発生すると、揺れで柱が押し引きされる直線の動きをねじとナットの働きで重りの回転運動に置き換える。重さ2トンの装置で1000倍以上の重りがあるのと同等の制震効果を発揮するという。
シーバンスS館では、1〜7階のコアとフロアの間に位置する柱・梁フレームに、直径50センチ、長さ約1・4メートルの装置が28カ所設置されている。S館の建物の重さは約4万トン。装置1台の重りは600キロながら、すべての装置が作動すると、慣性力により建物の自重とほぼ同じ約3・5万トンの重りで揺れを抑制する効果が得られる。長周期地震動による後揺れの時間は、一般的な制震ダンパーによる従来対策の半分にとどめられる。「工事エリアを低層に集中させられるメリットが大きい」と同社の松井和幸環境・技術ソリューション本部技術開発部主査。工事費、コストが低減できるのに加え、テナントへの影響を最小限にとどめられることが顧客に評価されているという。
ダイナミックスクリューは、天井近くに設置すれば、床側に通路を確保できるため、生産施設からの引き合いも増えている。小型化した装置を縦置きすることで、歩行の振動を吸収でき、清水建設は「歩行振動対策」としても提案している。装置の数や重りの重さを、設置スペースや建物の揺れ特性(固有周期)ごとに決められるため、S造の幅広い建物に適用できる。
東日本大震災では、躯体に被害のなかった超高層ビルでも、長周期地震動による後揺れで、事務機器や家具が大きく動き、ゆっくりとした長い揺れに恐怖を感じた人も多かった。大地震の発生が懸念される中で、長周期地震動対策の法制化に向けた動きもあり、清水建設はダイナミックスクリューを高層・超高層ビルと生産施設を含む中層ビルの耐震性アップに効果的な技術として売り込んでいく。
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