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TPP政府調達/建設業 海外展開に弾み20151030建設通信
【マレーシア 建設・技術 市場開放/カナダは20機関以上シンガポール10機関】
TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意のうち、政府調達分野の詳細な交渉結果が判明した。日本国内の政府調達はWTO(世界貿易機関)政府調達協定(GPA)に基づき対象機関と対象額に変更はないが、マレーシアは建設と設計や調査など建設関連業務の2分野を日本に市場開放する。米国、カナダ、シンガポール、豪州も対象機関を拡大するなど、日本の建設産業にとってはTPP発効が海外展開を後押しすることになる。
日本企業に初めて政府調達市場の参入機会を国際約束するベトナム、マレーシア、ブルネイの3カ国のうち、ベトナムは「建設サービス(建設工事)」の市場を開放するものの、「建築のためのサービス、エンジニアリング・サービスその他の技術的サービス(建築設計や建設関連の調査・設計などの技術的サービス)」の市場は開放しない。マレーシアとブルネイは、建設サービスと技術的サービスの両分野を開放する。3カ国はいずれも調達の基準額(SDR・特別引き出し権)を段階的に引き下げていく。
米国、豪州、カナダ、シンガポールは、既存の国際約束以上に調達対象機関を広げる。ただ、対象機関は確定していない。豪州、チリ、ペルーの3カ国は、調達対象となる基準額を既存の国際約束より引き下げる。3カ国のうち、チリとペルーが建設サービスの基準額を協定発効後即時に引き下げる。
TPPの政府調達では、特定の調達機関が基準額以上の物品とサービスを調達する際の規律を定めた。具体的には公開入札の原則や、外国企業と自国企業を同等に扱う内国民待遇と無差別原則、調達手続きの透明性と公平性の確保、地方政府を含む適用範囲のさらなる拡大交渉などを規定している。
ベトナム、マレーシア、ブルネイの3カ国は、WTO(世界貿易機関)政府調達協定を締結していない。また、日本との2国間EPA(経済連携協定)でもGPAと同水準の規定がなく、TPPによって、政府調達市場の国際入札が新たに義務付けられることになった。これにより、3カ国の市場へのアクセスが改善する。
■TPP大筋合意のうち政府調達分野における日本と相手国との交渉結果の概要
◆初めて政府調達市場を開放
◇ベトナム
中央政府21機関、その他機関38機関を対象に建設サービスを開放。地方政府は対象外。建築サービスなどの技術的サービスは開放しない。
中央政府の基準額は発効当初が6520万SDR。4段階で基準額を引き下げ、16年目以降は850万SDR。
その他機関の基準額は発効当初が6520万SDR。4段階で基準額を引き下げ、16年目以降は2500万SDR。
◇マレーシア
中央政府25機関、その他機関4機関を対象に建設サービスと技術的サービスを開放。地方政府は対象外。
中央政府、その他機関とも建設サービスの基準額は発効当初が6300万SDR。5段階で基準額を引き下げ。 21年目以降は1400万SDR。
中央政府、その他機関とも技術的サービスの基準額は発効当初が200万SDR。4段階で基準額を引き下げ。10年目以降は中央政府が13万SDR、その他機関が15万SDR。
◇ブルネイ
中央政府12機関、その他機関2機関を対象に建設サービスと技術的サービスを開放。同国に地方政府はない。
中央政府、その他機関とも建設サービスの基準額は発効時から500万SDR。
技術的サービスの基準額は中央政府の発効当初が25万SDR、その他機関が50万SDR。2段階目の3−4年目は中央政府が19万SDR、その他機関が31.5万SDR。5年目以降は中央政府、その他機関とも13万SDR。
◆既存の国際約束以上に対象機関を拡大
◇米国
日本に対し、WTO政府調達協定(GPA)と比べ、一部の中央政府と複数のその他機関の調達市場を開放見込み。具体的な対象機関は未確定。
◇豪州
日豪EPA(経済連携協定)と比べ、中央政府(連邦政府)2機関、その他機関1機関の調達市場を開放。
◇カナダ
日本に対し、GPAと比べ中央政府20機関以上の調達市場を開放。
◇シンガポール
日本に対し、GPAと比べその他機関10機関の調達市場を開放。
◆既存の国際約束以上に調達基準額を引き下げ
◇豪州
その他機関の物品サービス基準額を日豪EPAの45万SDRから40万SDRに引き下げ。
◇チリ
中央政府とその他機関の建設サービスの基準額を、日チリEPAの1000万SDRから発効即時に500万SDRに引き下げ。
◇ペルー
中央政府とその他機関の建設サービスの基準額を日ペルーEPAの1500万SDRから発効即時に500万SDRに引き下げ。
*1万SDRは日本円換算で約135万円
□参考 日本の基準額と日本円換算額(2016年3月31日まで)
・中央政府
建設サービス450万SDR(6億円)
技術的サービス45万SDR(6000万円)
・地方政府
建設サービス1500万SDR(20億2000万円)
技術的サービス150万SDR(2億円)
・その他機関
建設サービスA群1500万SDR、B群450万SDR
技術的サービス45万SDR
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