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熊本地震/建コン協、提言含む災害リポート作成/構造物は周辺地盤特性含め検討を20160722建設工業
◇耐震設計の妥当性を確認
建設コンサルタンツ協会(建コン協、長谷川伸一会長)は、4月の熊本地震を踏まえ、提言なども盛り込んだ「熊本地震災害リポート」をまとめた。震度7の大地震が連続して発生したものの、大部分の構造物が復旧道路などとして活用できる状況だったことから、耐震設計の妥当性が確認されたとの認識を示した。一方で、落橋した阿蘇大橋のように、基礎地盤の損傷が構造物の被害に影響した事例もあり、周辺の地盤特性も踏まえた道路のルート選定などの必要性も指摘した。
約7000部を作成し、全国の発注機関や教育機関に配布する予定で、建設コンサルタントへの理解促進にも役立てる。
リポートには、地震発生後の建コン協会員各社の活動状況や、教訓とすべき事項、今後の減災に向けた提言などを盛り込んだ。断層近くでの被害や、斜面崩壊、液状化などの状況とともに、熊本県内の会員各社が自らも被災した中で調査活動や応急復旧などに当たったことも紹介している。
提言では、▽設計時の地震外力の再検証▽周辺地盤の地盤耐力を勘案した施設配置手法の確立▽特徴的損傷があった構造物のメカニズム究明・対応策立案▽ICT(情報通信技術)などを活用した早期災害把握の促進−などを列挙した。
地震が比較的少ないとされてきた九州地方は、設計地震力を定める地域係数や地域別補正係数が1〜2ランク低く設定されているが、見直しを検討することが必要だとした。震度7の地震が連続して起きる事態への対応も検討課題に挙げた。土砂崩壊や亀裂発生、液状化、側方流動など基礎地盤の損傷が構造物に影響しているケースもあったことから、構造物本体の基礎設計だけではなく、周辺域の地震時の状況なども見据えた対策の重要性を再認識すべきだと指摘した。
橋梁については、本体の耐震設計や耐震補強の妥当性がおおむね確認できたものの、ゴム支承の損傷や側方移動、取り付け部の段差などが発生しており、改善が必要との見解を示した。無人航空機(UAV)や3次元測量機器・ソフトなどが現状把握に有効だったことから、さらなる改善も重要だとした。
建コン協の長谷川会長は、20日の定例記者会見で、「建設コンサルタントは災害時には自ら被災していながら復旧に携わっている。(リポートを)発注者や一般の人に役割や使命感を知ってもらう広報の一環として活用したい」と語った。熊本県や熊本市との災害協定締結の必要性にも言及した。
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