|
英経済、急降下 視界晴れず 離脱ショック1カ月、リーマン級打撃20160722Sankeibiz
英国が欧州連合(EU)離脱を決め、世界に衝撃が走った国民投票から23日で1カ月。離脱を決めた英国の経済が急速に悪化している。当面は、焦点である離脱時期やEUとの自由貿易の継続が明確になる見込みはなく、企業活動や個人消費が大きく萎縮しているためだ。離脱問題を巡る不確実性を背景に、世界経済の視界も晴れない。
「この種のショックに対する最初の対応は金融政策でなければならない」。ハモンド英財務相は19日の議会で、中央銀行のイングランド銀行(BOE)が8月に利下げなどの金融緩和に踏み切る意向を示していることを支持すると表明した。
18日にソフトバンクグループが英アーム(ARM)・ホールディングスの巨額買収を発表。「英国が海外投資家を引き付けている」と胸を張ったハモンド氏だが、最近の景気停滞は認めざるを得なかった。
会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツは、6月28日〜7月11日に景況感などの調査を実施した。英大手企業の財務責任者の景況感指数はマイナス70となり、2008年のリーマン・ショック直後よりも低い水準に沈んだ。今後3年間で設備投資を削減するとした財務責任者は58%、採用抑制も66%に上った。
夏のバーゲン時期だったにもかかわらず、家計は財布のひもを固くしている。英小売協会の調べでは、国民投票の翌週以降、来店客数は前年の同じ時期に比べ3.4%減った。住宅や自動車の販売も既に鈍化している。
大和証券キャピタル・マーケッツ(ロンドン)は、英国の国内総生産(GDP)が7〜9月期と10〜12月期にマイナス成長に陥り、景気後退入りする可能性が高いと予想。EU市場との関係といった課題の解決までに「数四半期、場合によっては数年を要する」(大和証券のシクルーナ氏)とみるからだ。
英国がEU側に離脱を通告しない限り離脱協議は始まらない。下交渉に着手したい英国と、事前の話し合いを拒否するEUの対立は続いている。
EU欧州委員会は19日、離脱問題に伴いユーロ圏の成長率が16年に0.2ポイント、17年には0.6ポイント押し下げられる恐れがあるとの試算を公表した。国際通貨基金(IMF)も世界経済が16、17年とも2.8%に減速し、節目の3%を割り込む懸念があると指摘する。(ロンドン 共同)
|