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時流自流/日本埋立浚渫協会会長・清水琢三氏/公正で誠実な企業活動徹底20160802建設工業
◇地盤改良技術の信頼回復に全力
港湾・空港建設の専門技術を備える企業で構成する日本埋立浚渫協会(埋浚協)。羽田空港などの地盤改良工事で発生した不正行為を受けて、コンプライアンス(法令順守)の徹底と技術の信頼確保に力を注いでいる。5月の総会で会長に就任した清水琢三五洋建設社長は、良質なインフラを提供する実績を積み重ねながら、「公正、誠実な企業活動と信頼の回復に全力を挙げる」と決意を示す。
−−就任の抱負を。
「空港・港湾土木や海洋工事に強く、特殊な作業環境、気象条件に対応できる会社が集まっている。人と物の結節点であって、災害時には対応の拠点となり、海外ともつながっている空港、港湾の整備をしっかり担いたい。会員企業が真面目に、誠実に事業に取り組んでいる中で不正行為が起きてしまい、残念な思いだ。会員企業に要請した公正で誠実な企業活動の徹底と、地盤改良技術の信頼の回復が一番のミッションだと考えている」
−−どう信頼を回復するのか。
「技術委員会に検討ワーキンググループ(WG)を設置し、確実な施工と品質を確保するために施工管理指針を検討している。供用したまま滑走路の液状化を防ぐ地盤改良技術は、専門性が高く、成果が見えにくい特徴があるが、不正はあってはならない。指針は、良質なインフラを造るのが使命であることを工事関係者全員であらためて認識するのが柱の一つだ。倫理観を焦点にした講習会を開き、全国であらためて意識を高める」
「曲がり削孔を伴う地盤改良は、硬質な物質があったり、地下水位が高かったり、難しい条件の中で施工する。各社のノウハウをある程度はオープンにする必要があり、計画、施工、施工後と各段階でのチェックシートを用いた施工を徹底するとともに、ボーリング調査の第三者チェックなども提言する。問題点は技術委員会にフィードバックして改善を進める」
−−工事需要をどう見ている。
「国際競争力を強化する観点から、国際コンテナ戦略港湾などの整備が推進される。クルーズ船の来港に対応するニーズも大きい。港湾法の改正で占有許可手続きが創設され、洋上風力発電などの投資も進むだろう。会員企業が培ってきた技術力を生かしたい。ケニアで8月下旬に行われるアフリカ開発会議(TICAD)、その関連会議では港湾の建設技術をアピールし、インフラ輸出につなげる」
−−担い手確保と生産性向上も大きな課題だ。
「天候に工程が左右される海の工事には特有の問題があるが、休日は確保しなければならない。『段取り8分』というように事前の準備をしっかり行いつつ、工期を適正に設定するなど、より働きやすい環境を発注者と整えたい。労働人口は確実に減る。担い手3法を踏まえ、適正工期・価格での発注をお願いする」
「ナローマルチビームソナーによる海底の面的測量をはじめ、海洋工事には生産効率の高い技術の採用が進んでいる。国土交通省は試験フィールドの提供に前向きで、4月に策定された『港湾の技術開発にかかる行動計画』に基づきパイロット事業の仕組みも整ったと聞いている。生産性向上に有効な技術は多く、標準化を視野に入れ、秋からの意見交換会では、担い手確保と併せて協議を進めたい」。
(しみず・たくぞう)1983年東大大学院修了、五洋建設入社。14年6月社長。埋浚協の5月20日の総会で会長に就任。京都府出身、58歳。
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