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埋浚協/空港地盤改良の施工不良・不正防止で自主ルール策定/チェックシート運用など20160808建設工業
日本埋立浚渫協会(埋浚協)は5日、羽田空港などの地盤改良工事で発生した施工不良や不正行為問題の再発防止策を公表した。全工程にわたるチェックシートの活用や、機器などを調整・確認する施工前の「キャリブレーション」に発注者の立ち会いを求めるといった「自主管理ルール」の運用を会員に要請する。曲がり削孔式浸透固化処理工法(PGM工法)など3工法の品質確保、技術者倫理や施工技術の講習会の実施、出来形を可視化する手法の開発などにも取り組む。
再発防止策は、供用施設直下の液状化対策工法の確実な施工と品質を確保し、技術への信頼を回復するのが狙い。技術委員会(委員長・野口哲史五洋建設取締役常務執行役員土木本部長)のワーキンググループ(WG、座長・林健太郎五洋建設技術研究所副所長)が検討し、「埋立地の地盤改良に関する検討報告書」としてまとめた。国土交通省の有識者委員会の対策などを踏まえて8月中に最終報告にし、会員に対応を要請する。
自主管理ルールに挙げたのは、▽技術講習会の開催▽チェックシートの使用義務付け▽技術指導員の派遣▽注入データの改ざん防止措置▽施工前キャリブレーションへの立ち会い▽採取試料の差し替え防止と第三者による事後調査の実施。報告書には、これらの実効性を上げる取り組みを記載した。
施設直下の液状化対策工法については、適切な計画、施工によって「出来形・品質を確保できる」と強調。一方で性能確認が地震発生後となり、施工不良が顕在化しにくいことから、施工不良と検査不正の防止が必要と指摘した。
再発防止策の対象は、PGM工法、静的圧入締め固め工法(CPG工法)、砂圧入式静的締め固め工法(SAVE−SP工法)で、それぞれに品質確保と不正防止の取り組みを明示。キャリブレーションへの立ち会いに加え、PGMは▽グラウト協会認定機器、認定チャート、積算流量計の使用▽監督員立ち会いが前提の事後調査時の試料採取−など、CPGは▽流量圧力監視装置の校正証明書の確認▽全本数対象の注入量・注入圧力管理記録の作成−など、SAVE−SPは▽圧入量・圧入圧力リアルタイム管理機器の使用−などとした。
倫理講習会の東京(9月21日)などでの実施、元請会社主催の施工周知会の開催、3工法各研究会がトラブル対策などのノウハウを紹介する技術講習会の実施、元請会社の要請に基づく技術指導員の派遣も行う。事業者には、十分な地盤調査の実施と地盤改良工事の適切な工期設定、試験施工の実施などを提案。会員企業は、非破壊検査などで出来形を可視化する技術の開発を進める。
□国交省と方向性一致/野口哲史技術委員長の話□
施工不良とデータ改ざん、虚偽報告などを踏まえ、技術の信頼性確保の観点から(対策を)検討してきた。山崎浩之港湾空港技術研究所特別研究主幹、末政直晃東京都市大学教授の助言をいただき、具体策としてまとめた。国土交通省の有識者委員会の結論とおおむね方向性は一致していると考えている。残念ながら工事への信頼性の低下、業界の姿勢を問うような報道がある。信頼の回復はいち企業だけでは難しく、協会として、いろいろな品質確保策を検討してきた。建設技術者の倫理の講習なども進めたい。
報告書の概要は次の通り。
■施設直下の液状化対策工法は、適切に計画し、施工すれば確実に出来形、品質を確保できる
■トラブル対処方法や技術マニュアルにない施工上の留意点を整理し、工事の不良、不正を防止する自主管理ルールを策定
■ルールの対象は、曲がり削孔式浸透固化処理工法(PGM工法)、静的圧入締め固め工法(CPG工法)、砂圧入式静的締め固め工法(SAVE−SP工法)の3工法
△PGM工法=グラウト協会認定の機器、チャート、積算流量計の使用や、監督員立ち会いが前提の事後調査の試料採取など
△CPG工法=流量圧力監視装置の校正証明書の確認、全本数を対象とした注入量・注入圧力管理記録の作成、提出など
△SAVE−SP工法=流動化砂の品質管理基準と管理頻度の設定、圧入量・圧入圧力リアルタイム管理機器の使用など
■ルールを機能させるチェックシートを運用
■技術者倫理に関する倫理講習会と元請会社による施工周知会を開催
■各工法研究会による協会会員、協力業者に対する技術講習会を開催
■各工法研究会は、元請会社の要請に基づき技術指導員を派遣
■事業者に、十分な地盤調査の実施と適切な工期設定、設計時の適切な改良諸元の設定、試験施工の実施、性能規定に配慮した方法などを提案
■非破壊検査、CIMを活用した改良出来形可視化手法の開発。
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