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マンション建替ー改正法の活用具体化/一括売却と容積率緩和/国交省実態調査20160818建設工業
耐震性能が不足している老朽マンションで、14年12月に施行された改正マンション建て替え円滑化法に基づく建て替え計画が具体化してきた。国土交通省が15年度に行った初の実態調査によると、2件の老朽マンションが、改正法で創設された特例制度を活用する建て替えや物件処分を決定。うち1件は改正法最大の柱として創設された建物と敷地(解体後の跡地)の一括売却が行いやすくなる制度を活用する。国交省は引き続き改正法をPRしながら建て替えペースの加速を目指す。
改正法では、耐震性能が不足している老朽マンションの再建促進策として、▽建物と敷地を一括売却しやすくする▽敷地面積などで一定の要件を満たせば容積率を緩和する−という二つの特例制度が創設された。
このうち一括売却による建て替えは、もともと民法で住民全員の合意が必要だったが、改正法を活用すれば合意要件が「5分の4以上」に引き下げられる。さらに、権利変換などによる一般的な建て替え手法とも異なり、売却後に建設できる建物の用途制限を撤廃。マンション以外も建てられるようにした。経済的により優位な跡地開発が可能になる。
実態調査結果(今年3月時点)によると、特例制度を活用して建て替えや物件の処分を行う2件の老朽マンションのうち、1件は一括売却制度で物件を処分。別の1件は容積率の緩和措置を受けて建て替える。
このほかに特例制度の活用を検討している老朽マンションが19件ある。内訳は、一括売却活用の建て替えが6件、一括売却活用の物件処分が2件、容積率緩和活用の建て替えが10件、一括売却・容積率緩和併用の建て替えが1件。
国交省はいずれも具体的な物件名などは公表していないが、一括売却制度を活用予定・検討中の物件には、比較的小規模なマンションや、マンション以外への用途変更でより高い売却益を見込む傾向が強い。容積率の緩和特例を活用予定・検討中の物件には、都心の狭い敷地にあるマンションが比較的多いという。
国交省は、改正法の普及促進策として整備したマンション管理組合向けの指針や無料相談窓口を引き続き運用し、老朽マンションの建て替えを促進。3月に閣議決定した住生活基本計画(16〜25年度)で設定した「マンションの建て替えペースを4倍に加速する」との目標の達成を目指す。
13年4月時点で全国にあるマンションは約590万戸。うち1981年以前の旧耐震基準で建設されたストックは約106万戸に上る。従来のマンション建て替え手法では住民の合意形成要件が厳しく、建て替えが思うように進んでこなかったことを教訓に、国交省は特例制度の創設を柱とする法改正を行った。
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