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時流自流/PC建協会長・菅野昇孝氏/インフラの保守・保全にPC技術で応える20160818建設工業
5月にプレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)の会長に就任した菅野昇孝氏(富士ピー・エス社長)。会員会社のPC工事の総受注額が5年連続で増加し、15年度は7年ぶりに3000億円を上回った。橋梁などの保守・保全で需要増が期待できる状況下で、「発注者にPCの有効性をより理解してもらい、技術を通じて国土づくりに貢献していきたい」と意気込む。
−−PC業界の事業環境をどう見る。
「国内の建設市場は成熟期に入っている。2020年の東京五輪開催に向けた再開発やリニア中央新幹線関連の工事はあるものの、長い目で見れば新設のインフラ工事が頻繁に出てくるわけではない。インフラの保守・保全にPC技術をより使ってもらう取り組みが重要になってくる。17年5月の定時総会で発表予定の協会のビジョンでは、保守・保全への対応が大きなウエートを占めるだろう」
−−協会運営の基本方針は。
「会員会社の受注動向は15年度、7年ぶりに総額が3000億円を超えた。この水準を維持し続けることが協会の使命だと認識している。国民生活の基盤になるインフラの整備や保守・保全で役に立つことが、建設業界の果たすべき使命だと考えている。建設業の仕事や役割をより理解してもらうことは、結果として将来の担い手確保にもつながるはずだ」
−−PC技術の拡大にどう取り組む。
「インフラの整備・保全にPC技術をどう役立ててもらうかが今後のポイントになる。発注者に工法を正しく理解してもらうことが大切で、PR活動に力を入れていく。国土交通省や地方整備局、高速道路会社と意見交換会を開き、技術への理解を深めてもらう取り組みも実施している。7月には16年度補正予算と17年度予算での公共事業費の確保、担い手確保のための活動に対する支援などを盛り込んだ要望書を国交省幹部に提出するなど、事業環境の整備にも力を注いでいる」
−−増加傾向にあるインフラの保守・保全需要への対応策は。
「現状の保守・保全事業は、発注ロットの小さい案件が多く、入札不調が目立つ。各社が積極的に取り組んでいくには、発注制度の見直しが必要ではないか。例えば橋梁では、数キロから数十キロなど大規模なロットでの発注、調査・診断から設計、保守・保全工事までの一括発注などが考えられるのではないか。発注方法が変われば状況は改善すると見ており、発注者に要望も出している」
−−今後の運営方針は。
「我々を取り巻く事業環境は目まぐるしく変化している。速やかに対応していくことが不可欠で、原動力は新しい技術の研究開発だ。技術力は企業間競争の源泉だが、PC建協としてできることは最大限対応する。国交省や高速道路会社と新しい技術や工法の共同研究を進める場合に、協会が窓口になって取り組みを推進する必要があるのではないか」
「建設市場は土木よりも建築の方が規模は大きい。会員には土木を中核分野にしている企業が多いが、今後は建築分野により目を向けPCの用途拡大を図るべきではないか。RCやSRCの建築物にPC技術をもっと採用してもらえれば、コストや耐久性などで利点が生まれるはずだ。PC技術のメリットを訴求することで、会員合計の受注高に占める建築の割合を現在の1割程度から、2割ほどに伸ばしていきたい」。
(すがの・のりたか)78年九州工大工学部卒、富士ピー・エス・コンクリート(現富士ピー・エス)入社。07年取締役兼執行役員技術本部長、09年取締役兼常務執行役員、11年取締役兼専務執行役員、13年から社長。東京都出身、61歳。
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