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i−Conで変わる現場/地域建設業者も果敢に挑戦/若手育成や職場環境改善に期待20160912建設工業

 国土交通省の直轄工事でICT(情報通信技術)を取り入れた施工が全国に広がっている。建設現場の大幅な生産性向上を目指した「i−Construction」のトップランナー施策の一つ「ICT土工」は本年度、現時点で700件超の発注が計画され、大手だけでなく地域の建設業者らも果敢に挑む。各地で先行する現場では3次元(3D)測量用の小型無人機(ドローン)やICT建設機械などが稼働し、建設生産の最前線が変わり始めた。

 あらゆるプロセスにICTを取り入れて生産性の向上を図る現場の取り組みは、賃金水準の向上、安定した休暇の取得、安全な現場、女性や高齢者の活躍などにつながると期待される。

 国交省は、第1弾の「ICT土工」に対応するため、3月までに15の新基準・要領を制定。必要経費を手当てするために積算基準も整備し、16年度からの本格発注に備えられるようにした。

 直轄でのICT土工の採用は、予定価格3億円以上の大規模工事が「発注者指定型」、3億円未満で土工量2万立方メートル以上の工事が総合評価方式で加点する「施工者希望I型」、規模に関わらず受注者の提案・協議で実施する「施工者希望II型」という三つのパターンを想定。現時点で16年度は約720件以上の発注が公告される見込み。内訳は発注者指定型約40件、I型約200件、II型約480件。26日招集の臨時国会で審議される第2次補正予算案を活用するなどして、その数はさらに積み増しされることになりそうだ。

 現在ICT土工を実施しているのは直轄現場110件で、8割以上を地域の建設業者が占める。

 徳島県つるぎ町が拠点の井上組は、美馬市で施工中の堤防工事にICT土工を導入した狙いを「今後の増加を見越し、少しでも取り掛かった方が会社にもメリットになると考えた」とする。三重県四日市市の新藤建設も「経験する良い機会」と捉えた伊藤秀樹社長の強い思いから、県内を流れる木曽川で土量が8万立方メートルに及ぶ盛土工事にICT土工を取り入れた。

 北海道釧路市の白崎建設が手掛ける直轄道路工事では、ベテランに混じった若手のオペレーターが3D設計データ通りに自動制御されたICT建機を操作。その様子に現場代理人は、「ベテランと同じものができる」と可能性を感じている。宮城県石巻市の武山興業が県内の堤防かさ上げ工事などでICT土工を取り入れた狙いは、若手技術者の育成と職場環境改善。今はまだ手探り状態だが、経験を積んだ若い世代がこなせるようになることに大きな期待を寄せる。

 松江市に本社を置くカナツ技建工業は、早くから情報化施工に取り組んできた経験から、島根県出雲市内の直轄道路改良工事でICT土工に手を挙げた。コンサルタント、ソフトメーカー、測量会社と4社でプロジェクトチームを組み、3Dデータの活用方法などの検討を重ねた独自のやり方で施工を進めている。

 大手舗装会社の前田道路も民間工事を含めて多くの経験の中で情報化施工の独自システムを確立した。ICT土工がいずれ舗装にも広がるのを見据え、路床盛土を含む鹿児島県内の道路新設工事でドローン測量を含めた取り組みを展開。その成果をICT施工に関する社の取り組み方針の検討に役立てていく。

 国交省は、ICT施工に対応できる受発注者双方の人材を育てようと、自治体職員を含めた講習・実習を積極推進。これまでに全国で約1万3000人が参加した。今後、自治体発注工事でICT導入の支援も予定している。業界単位でも全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)が地域単位の研修会を全国で企画するなどの活動を展開している。 

 ICTを駆使した施工に挑む地域の建設企業。日刊建設工業新聞では、全国各地の現場をリポートする連載「ICT土工に挑む」を近日中に始めます。


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