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国交省/超高層の長周期地震動対策支援拡充/17年度から、改修費補助の用途要件撤廃20170210建設工業
国土交通省は17年度から、3大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)などにある民間の超高層ビル(高さ60メートル以上)で行われる長周期地震動対策への支援を強化する。詳細な耐震診断や制震改修の設計・工事費用を補助する現行の支援制度を拡充。現在はマンションに限定している補助対象を広げ、オフィスや商業施設などが入る超高層ビルの対策にも支援制度を活用できるようにする。
17年度予算案で補助制度「耐震対策緊急促進事業」に計上した国費120億円の一部を、17年度に拡充する超高層ビルの長周期地震動対策費の補助制度に充てる。
最大の目的は、今後30年以内に70%の確率で発生すると予測されている南海トラフ巨大地震での長周期地震動対策。長周期地震動は超高層ビルの上階に大きな横揺れを起こすことから、対策を急ぐ。南海トラフ地震と同じ海溝型地震として11年3月に起きた東日本大震災では、震源から遠い首都圏の超高層ビルが長周期地震動で大きく揺れ、天井の落下や家具の転倒が多発した。南海トラフ地震ではさらに深刻な被害がより広い範囲で起こるとみられている。
国交省は補助制度を拡充し、新たに建築物の用途に関係なく、南海トラフ地震の長周期地震動で大きな被害が懸念される3大都市圏と静岡県にある比較的古い民間の超高層ビルと、一定以上の高さ・階数がある免震構造ビルの制震改修を重点的に支援する。
国交省によると、今回の重点支援地域にある超高層ビルは約2000棟で、免震ビルは約1000棟。地域や用途、所有者などの内訳は公表していないが、大半のビルが首都圏にあると同時に、東京都庁舎(東京都新宿区)や大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区)などを除き大半が民間ビルで、補助制度の対象となる。
補助率は現行制度(詳細診断・改修設計費=国費で3分の1、改修工事費=同11・5%)を継続するが、詳細診断費の補助上限額は拡充。診断面積が1000平方メートル以内の場合、1平方メートル当たりの上限額を現行の2060円から3600円へと引き上げる。一方、免震ビルへの補助の階数要件は今後詰める。
国交省によると、これまでの実績から、超高層ビル1棟当たりの制震改修にかかる標準的な費用は30億〜40億円程度。主に制震ブレースや鋼材ダンパーを設置する手法が採用されているという。
内閣府がまとめた南海トラフ地震の長周期地震動で発生する超高層ビルの横揺れ幅の推計によると、3大都市圏に集中する高さ200〜300メートル級のビルは、対策をしなければ最上階で2メートル以上の揺れが生じると予測されている。
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