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“ベンゼン100倍”でも対策は「適切」、豊洲新市場20190328日経コンストラクション
豊洲新市場の土壌の汚染度を示す地下水の有害物質濃度は現在、一部で環境基準を大幅に超えている。しかし東京都は3月24日までに、土壌汚染対策工事に瑕疵(かし)は無かったとの見解を示した。
都は3月19日に築地市場で開いた「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」(座長:平田健正・放送大学和歌山学習センター所長)の第5回会議で、新市場地下の観測井戸で1月〜3月に実施した地下水モニタリング調査の結果を公表した。ベンゼンの濃度は最大で環境基準の100倍に達した。
昨年11月〜12月に実施した第9回の地下水モニタリング調査で一部の井戸から環境基準の79倍に上る高濃度のベンゼンが検出されたことを受けて、都が再調査した。都はベンゼン濃度が急上昇したことは間違いないとして、公表時には暫定値とした第9回調査の結果を正規の数値に改めた。現時点ではこれが最終調査となる。
専門家会議の委員は、ベンゼン濃度急上昇の原因として、新市場の地下水の水位維持や浄化などを行う地下水管理システムの稼働で地下水の流れが変わり、それまで土壌に残っていた汚染物質が地下水に溶出した可能性を指摘した。
委員や都職員の説明を聞いた築地市場内の事業者からは、「土壌汚染対策は無理だったと認めろ」などと怒りの声も上がった。豊洲新市場の土壌汚染対策工事は、都が2011年8月〜14年11月に858億円を投じて実施した。施工者は、鹿島、清水建設、大成建設の各社を代表とする3JVだ。
土壌汚染対策が「適切」な理由
3月19日の会議終了後の記者会見で、委員らは土壌汚染対策工事の成否について、ベンゼン濃度が上がったといっても対策工事の前に比べればはるかに低いことを理由に、適切だったとの見解を示した。対策工事前の豊洲新市場の地下水から最大で環境基準の1万倍、土壌からは4万3000倍のベンゼンが計測されていた。
都は工事完了時に計測したベンゼンなどの濃度が環境基準以下だったことを理由に、土壌汚染対策工事は適切だったとの見解を示した。発注時の仕様書で、完了後数年以上にわたって環境基準以下の状態が続くことは求めていなかった。
市場施設の一部改修を提言
専門家会議の委員は、地下水の汚染度が環境基準を超えても地上の市場施設は安全との見方を強調した。地下水管理システムの稼働で汚染度が低下する見通しも示した。
ただ将来は、地下水から気化したベンゼンやシアン、水銀が施設の地下ピットから地上部分へと侵入する恐れもあるとして、地下ピットへのガス侵入遮蔽材の敷設や換気設備の設置など施設を一部改修することを提言した。
専門家会議は2017年度も継続するので、これらはまだ最終的な提言ではなく、都が実施するかどうかも決まっていない。
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