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働き方改革を実現/低入札基準引き上げ/適切賃金水準確保に焦点/国交省20170315建設通信

 国土交通省は、低入札価格調査における基準価格(調査基準価格)の算定方法を見直す。4月1日以降に入札公告する工事・業務を対象に調査基準を引き上げる。この運用の見直しによって、調査基準価格は工事が平均して90%、業務は80%と、ほぼ設定範囲の上限値に達する見込み。工事・業務の品質の確保だけでなく、適切な賃金水準の確保など、建設業の働き方改革の実現にもつながっていくものと言えそうだ。

 14日の閣議後会見で石井啓一国土交通相は、低入札価格基準の運用の見直しを表明。「2017年度から工事および調査・設計等の業務における低入札基準を引き上げる」ことを明らかにした。

 予定価格の70−90%の範囲で設定する工事の調査基準価格は、これまで「直接工事費×0.95」「共通仮設費×0.90」「現場管理費×0.90」「一般管理費等×0.55」の合計額に、1.08を乗じた値が基準価格となっていたが、工事の品質の確保を前提に、落札率と工事成績の関連性などを分析した結果、直接工事費の算入率を従前の95%から97%に変更する。

 これにより、調査基準価格はこれまでの89%から平均して90%と、ほぼ上限値に達することになる。

 一方、予定価格の60−80%が設定範囲となっている土木コンサルタント業務と測量業務のこれまでの算定式は、 土木コンサルタントが「直接人件費×1.00」「直接経費×1.00」「その他原価×0.90」「一般管理費等×0.45」、 測量は「直接測量費×1.00」「測量調査費×1.00」「諸経費×0.45」となっていたが、 従業員等の賃金など最新のデータに基づく見直しをかけた結果として、「一般管理費等」と 「諸経費」の算入率をそれぞれ変更。従前の0.45から0.48に引き上げる。

 この見直しによって、工事と同様に業務の調査基準価格もほぼ設定範囲の上限値に近づく。平均して予定価格の78%だった従前から、80%へと上昇することになる。

 会計法の下にある予算決算および会計令第85条に規定される低入札価格調査基準は、受注者の入札価格が「当該契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがあると認められる場合」の基準を指す。この基準に基づいて算出した価格(調査基準価格)を下回る場合、その履行可能性の調査(低入札価格調査)を行う仕組みだ。

 工事で言えば、直接工事費に占める「労務費」の算入率を100%に引き上げる今回の改定は、発注者として受注者が現場で働く労働者の賃金(労務費)を削る、 いわば“労務費ダンピング”を防ぐという意味合いを持つ。建設産業界と協働で進める働き方改革の実現へ、 受注する産業界にその第一歩である適切な賃金水準の確保を改めて促すメッセージとも言えそうだ。

太平洋セメント/東京SS(東京都江東区)の新サイロ完成/五輪需要対応へ能力増強20170314建設工業

 太平洋セメントが東京都江東区のセメント受け入れ基地(サービスステーション=SS)「東京SS」で建設を進めていた普通セメントを2万トン貯蔵できる新しいサイロが完成した。2020年東京五輪関連の需要に対応するための出荷体制強化の一環。13日に現地で竣工式が開かれ、福田修二社長は「これまで以上に安定供給できる体制が整った」と述べた。

 02年5月に竣工した同SS(江東区若洲2の9の1、約4・2ヘクタール)は、東京湾岸に位置する国内最大級の出荷設備。セメントタンカーから供給される製品を、バラ、袋など荷姿・品種別に迅速に出荷できる最新設備を備えている。出荷予定数量は年間130万トン。

 完成したサイロは径25メートル、高さ42メートルの規模で、同SSで5基目。総貯蔵能力は10万5000トンに増える。14年度から計画を進めてきた今回の増強では、地盤改良などに使うセメント系固化材の設備も新設した。これにより、フレコンバッグ(1トン)での出荷が可能となり、昨年稼働を始めた。新サイロの設計・監理は太平洋エンジニアリング、施工は土木・建築を大成建設、設備を星和工業が担当した。

 直会で福田社長は「首都圏をカバーする東京SSのセメント供給量は累計1600万トンを超えた。17年度の国内セメント需要は4300万トンと、16年度の見込みに比べ約3%の増加を見込む。中でも首都圏の需要は今後数年は増加していく」と指摘。増強した東京SSで堅調な需要に応えていく方針を示した。

佐藤信秋参院議員/改正公共工事品確法の浸透評価/民間にも「発注者の責務」普及を20170314建設工業

 自民党の佐藤信秋参院議員は日刊建設工業新聞のインタビューに応じ、4月で本格運用から2年がたつ改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)について「都道府県や市町村を含めて足並みがそろい始めている」と評価した。建設業の健全経営や労働者の処遇改善を目指す改正法の趣旨に沿った公共発注者の取り組みを先導させつつ、「『発注者の責務』を民間にも普及させたい」とも訴えた。

 政府は、国土交通省を中心に改正法に基づく発注者共通ルールとして策定した運用指針に沿った取り組みを推進中。自治体の足並みがそろい始めていることについて佐藤氏は地域発注者協議会という枠組みが奏功していると指摘。独立行政法人や特殊法人なども含め、「法律の精神を理解した動きが見られる」とした。

 ただ、改正法で目指す適正利潤の確保や労働者の処遇の改善などは、公共工事に限らず建設産業全体の課題。佐藤氏は「『隗(かい)より始めよ(物事は言い出した者から始めよの意)』の精神で始めた」と述べ、同様の取り組みを民間発注者にも広めるべきだとの考えを示した。

 具体例の一つとして技能労働者の社会保険加入の促進を挙げ、すべての建設工事を対象にした「建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律」が16日に施行されることも踏まえ、官民が連携した施策展開に期待を示した。

 他産業に比べて低い地域建設業の利益率や労働者に支払われる賃金の改善など「課題はまだ山のようにある」とも強調。債務負担行為や繰り越し制度などを活用した発注・施工時期の平準化措置などをさらに浸透させる必要性を指摘した。

 災害時の発注のあり方にも言及。「緊急度に応じて地域の団体と随意契約を交わして透明性を確保しながら会員間で仕事をシェアするなど、発注者と団体で日ごろからシュミレーションしておくことが重要だ」と述べ、5年単位の見直し規定がある公共工事品確法の次の改正テーマになるとの見方を示した。

 標準積算を予定価格とする現行制度に「柔軟性を持たせることが必要ではないか」とも述べた。

国交省/17〜21年度技術基本計画最終案/3本柱で政策展開、生産性向上など推進20170314建設工業

 国土交通省は17〜21年度の技術基本計画最終案をまとめた。今後の技術政策をより効果的・効率的に進めるため▽人を主役としたIoT(モノのインターネット)などの活用▽社会経済的課題への対応▽好循環を実現する技術政策の推進−の3本柱を設定。生産性革命プロジェクトの推進や基盤情報の整備などに取り組む。オープンイノベーションを通じ、好循環を生み出す環境整備なども進める。

 13日に同省で開いた社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)と交通政策審議会(交政審、同)合同の技術部会(部会長・磯部雅彦高知工科大学長)に最終案を提示した。部会での議論を踏まえ、3月末までに計画を決定する。

 最終案では社会資本、交通の各分野の連携を図る観点から三つの柱を設けた。人を主役にIoTや人工知能(AI)、ビッグデータなどを活用・導入し、「人の力」を高め、「新たな価値」を創出。生産性の向上や働き方改革につなげる。

 社会経済的課題に対応するため、▽安全・安心の確保▽持続可能な成長と地域の自律的な発展▽基盤情報の整備▽生産性革命の推進−の四つの視点から技術政策を戦略的に展開。技術研究開発に当たっては、最先端技術の活用が単に人が行ってきたことの置き換えにならないよう、仕事の仕方や慣例、規制、基準も併せて見直し、全体の最適化を目指す。技術研究開発の成果を社会に実装するため、分野横断的に研究開発から技術の普及までの取り組みを一体的に進める。

 好循環を実現する技術政策の推進では、技術の開発・活用・評価・改良が連続し、国民に成果が還元されるイノベーションのスパイラルアップを図る。外部の知識や技術を積極的に取り込むオープンイノベーションの推進や、新技術情報提供システム(NETIS)を中核に技術の効果的な活用などに関する環境整備にも当たるとしている。

 計画の決定は磯部部会長に一任された。部会での意見を踏まえ、国交省は今後、記述内容を精査する。

 国交省の森昌文技監は「持続可能な成長を促していく上で、生産性革命や働き方改革を支えるIoTやAIなどの技術を賢く使いこなしていくことが重要だ。技術基本計画に盛り込み、それを指針としていきたい。技術開発の進め方や社会への実装などについて指導や意見をいただきたい」と述べた。

大成建設/医療機器所在管理システムの機能拡充/貸出・返却状況を自動判断20170314建設工業

 大成建設は、自社が開発した医療機器所在確認システムの機能を広げた。新たに機器の貸し出し、返却状況を自動で判断する自動貸出機能を追加したほか、医療機器の情報を受信するアンテナを無線化し、医療機器管理業務の効率化と導入コストの低減を図った。

 大成建設の医療機器所在管理システム「T−Location.ME(ティーロケーションエムイー)」は、出入り口や階段口など動線の分岐点などにアンテナを配置し、医療機器に取り付けたICタグから通過履歴を検知することで、「どのエリアに対象機器が存在する確率が高いか」を予測する。少ないアンテナ数で所在が把握できるため、他の所在管理システムと比べてコストを抑えることができる。

 現在は、医療機器の安全保守・点検記録などを管理するフクダ電子の医療機器安全点検システム「MARIS(マリス)」と連携させ、医療機器管理業務の効率化に寄与している。ただ、機器の貸し出し、返却手続きは、依然として紙への記入やバーコードの読み取りが主流で、在庫管理に多くの時間と労力を必要とするほか、緊急時の手続き不備などが懸念されている。

 今回新たに付加した自動貸出機能は、保管場所での医療機器の有無を自動で判断し、機器の貸し出し・返却状況をマリスに伝達して表示する。同システムを先行導入している福島県の病院では、1600台の医療機器の管理・運用で、毎日平均2〜3時間必要だった貸し出し情報の入力業務が不要になったという。

 データ受信アンテナの無線化では、導入の際の配線工事が不要となるため、従来の有線型と比べた導入コストを2〜3割程度低減できる。使用する周波数は920メガヘルツ帯と、他の医療機器やWi−Fiに干渉することなく、相互に影響を与えることはない。

 システム開発に協力する埼玉医科大学の加納隆教授は「一人の患者が複数の医療機器を使用している例は多く、患者と一緒に病棟間を移動した場合、所在の把握は難しい。どこにあるのかさえ分かれば、管理業務を大幅に省力化できる」と有効性を強調する。

 今後は、医療施設の新築・改修工事などの入札時に技術提案するほか、フクダ電子との連携で既設医療施設への提案活動を積極的に行うなど、同システムの普及を目指す考えだ。


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