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アスベスト特需 解体工事ピーク控え 防じんマスク増産20050725毎日
アスベスト(石綿)による深刻な健康被害が次々と明らかになる一方で、その予防対策への関心が高まっている。飛散を防ぐ独自工法を持つ企業や防じんマスクのメーカーなどでは引き合いや受注が急増しており、関連市場はさらに拡大しそうだ。【高橋昌紀】
■株価急騰
注目を集めるのが建物に使われているアスベストの処理業者。建築仕上げや下地材の大手、菊水化学工業(名古屋市中区)は15日、全国24カ所に相談窓口を開設した。特殊な液でアスベストを固めて除去する「アスシール工法」の問い合わせが今月に入って相次ぎ、「週10件ほどだったのが、1日70件の日もある」という。先月下旬に500円を切っていた株価(名証2部上場)も急騰し、今月22日には1060円の今年最高値をつけた。
ビル解体時に出る粉じんを特殊な泡で包み込む「粉じん捕集工法・装置」を持つのは、建設機械レンタルのサコス(東京都品川区)。昨年夏から飛島建設と共同開発した技術で、従来の散水式に比べて粉じんの飛散を大幅に防ぎ、水使用量も30〜40%削減できる。秋からレンタルを始めて月間2億円の売り上げを目指すが、既に業者や投資家から約30件の問い合わせがあったという。
■20年前から
菊水化学工業によると、アスシール工法は約20年前に米国で学校のアスベストが問題になったのをきっかけに開発し、87年から施工している。「液剤などは進歩していますが工法自体は当時から変わらない。深刻な被害が明るみに出ないと業界もなかなか動かないということですね」と同社。サコスの新工法・装置もアスベスト対策を意識して開発したものではなかったが、担当の瀬尾伸一取締役は「今回の社会問題化で一気に注目される形になった」と話す。
■ホームセンターでも
作業用の防じんマスクも売れている。「需要増は確実」と見て増産態勢を整えたのは、業界大手の興研(東京都千代田区)。03年の新型肺炎(SARS)問題で態勢づくりが遅れた教訓もあって素早く対応し、注文が増えているという。需要は業務用だけでなくホームセンターなどで売られる商品にも広がり、東日本で147店舗を展開するホーマック(札幌市)では最近1カ月間の売り上げが約400万円で、前年同期比約40%増。
こうした特需は、国がアスベスト対策の強化のために業者に作業前調査や計画の徹底などを義務づけた「石綿障害予防規則」が今月から施行されたことも影響している。民間調査会社の東京商工リサーチは、アスベストの製造や解体などにかかわる企業719社をリストアップ。今後、補償問題などが生じる可能性もあることから、調査を始めている。
一方、約1700社が加盟する全国解体工事業団体連合会(全解工連)は、高度成長期にアスベストを使って建てられた建物の解体がこれからピークを迎え、20年間は続くと見ている。健康被害の予防対策は当分、業界の関心事になりそうだ。同連合会でも毎年秋に開催する技術講習で、今年初めてアスベスト対策の特別教育を組み込む。ただ、国内の解体業者は1万社以上あり、零細企業も多い。担当者は「業界として、いかに対策を徹底するかが大きな課題」と話している。
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