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**ニッコン e-建設経営通信 【第179号】**
■ Question
公共工事を発注したところ、請負者から現場に配置する主任技術者として、実務経験10年の経歴を有する技術者を配置したい申し出がありました。ところが、この技術者は10年間連続した経歴ではなく空白期間があります。そのため、工事に従事した期間は、当初から計算すると現在まで10年間は経過していますが、実際に工事に従事した年数だけを合算すると、10年には達しておりません。実務経験の数え方は、工事を担当していた期間を通算して10年と考えるべきでしょうか。また、工事ごとの経歴を証すものとして、どのような書類を提出させたらいいのでしょうか。
■ Answer
主任技術者の実務経験は、連続である必要はなく、許可業種に対応した工事へ従事した実務経験年数を積み上げて計算します(「国土交通大臣に係る建設業許可の基準及び標準期間について」(平成13年4月3日国総建発第99号 第2(注3)参照。)。当然工事を担当して期間のみを積み上げて通算することになります。したがって、照会のあった技術者の場合は、積み上げでは10年の要件を満たしていないようですから、適切な資格を有する技術者への交替を求めるべきです。
ところで、実務経験に基づく主任技術者は、許可申請時等に建設業法施行規則様式第9号に定められている「実務経験証明書」を提出する必要があります。証明者は、基本的にはその技術者の使用者(経営者)ですが、一人親方などの場合は、自己証明(使用者欄の記名押印が自分であるもの)でも足りる取り扱いになっています。
■ Question
公共工事の施工を監督する立場ですが、受注者側の現場代理人の設置に関し、受注者である元請業者と下請契約した下請業者の社員を、元請業者の現場代理人として配置したいという申出がありました。請負契約約款には現場代理人については「常駐」規定だけで、元請業者のと直接的かつ恒常的な雇用関係を有するとの規定もありませんので、元請業者からの申し出に苦慮しています。確かに、請負契約上又は建設業法上も規定がなく不適切な行為とは言えないかも知れませんが、下請業者の社員が、元請業者の現場代理人のなるのは、一括下請負といわれても過言ではないと思われます。このような場合にはどのように対応したらいいのでしょうか。
■ Answer
建設業法あるいは標準請負契約約款上では、現場代理人となりうる者の資格は、特に定められていません。従って、下請業者の社員が元請業者の現場代理人になることは、形式的には可能です。しかし、標準契約約款では、現場代理人は監理技術者又は主任技術者を兼ねることになっていますから、そうなると下請負人の社員が元請業者の現場代理人になることは、元請業者との直接的かつ恒常的な雇用関係を義務づけている監理技術者等との関係で、できないことになります。
さらに、最近では、国土交通省直轄工事を中心に、現場代理人にも直接的かつ恒常的な雇用関係にあることを、特記仕様書等で求める公共工事発注機関が増えてきています。こういう請負条件であれば、下請業者の社員である技術者が、元請業者の現場代理人になることは、当然不可能になります。
なお、下請業者に所属する技術者が元請業者の現場代理人となった事例で、その現場代理人は実質的に元請業者側の監理技術者の職務を兼ねていたとして、一括下請負で処分された例があることに留意してください。つまり、現場代理人というだけでは、一括下請負の禁止の網を逃れることはできないことに留意する必要があります。
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