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**ニッコン e-建設経営通信 【第188号】**
■ Question
姉歯建築士に端を発した構造計算書偽造問題では、マンション・ホテル等の発注者、建築事務所(構造計算のみを下請した建築事務所を含む)、建築確認検査機関、元請業者、下請業者について、瑕疵担保責任が問われており、その責任は連帯して責任を負うといわれています。
施工業者である元請業者は、偽造された設計図書通りに施工して完成させた場合でも瑕疵担保責任を負うものなのでしょうか。もし、負担するとなった場合には、自社分の瑕疵相当の損害だけを負担すればいいのでしょうか。
■ Answer
今回の問題は建設生産システムに係わるほとんどの業界が登場していますので、瑕疵担保責任といっても、その内容はそれぞれに異なります。施主である発注者は不動産取引上の瑕疵担保責任を、建築事務所は通常は委託契約による債務不履行による損害賠償責任を、施工業者である建設業者は請負工事による瑕疵担保責任をそれぞれ負います。建築確認検査機関については、行政責任とも関連しますので、ここでは省略して説明します。
施工業者がもし設計図書が偽造されていることに気づかないことに過失がない場合には、瑕疵担保責任が問われることはないと思われます。しかし、施工業者としては高い専門性などを求められている以上、今回のような構造躯体に極めて重大な強度不足があったことを見抜けなかったことに過失がなかったと認められる余地は極めて小さいと思われます。
特に、今回は各段階でそれぞれの関連会社が共謀関係にある節も見受けられます。もっとも、民法719条に規定する「共同不法行為者の責任」は、「客観的に共同の不法行為によって、一つの損害が発生したことで足り、共謀その他主観的共同の原因によって損害が発生したことを必要としない」というのが、古くからの判例の立場です。
つまり、極めて耐震強度が不足するマンション・ホテル建設に各自が原因者となることについて事前の共謀が無くても、共同不法行為者の責任が問われるということです。そして、共同不法行為者となると、719条の規定により「各自連帯してその損害賠償」の責任を負うとされています。
「各自連帯して」とは、民法432条以下の連帯債務とされています(正確には民法445条に規定する「不真正連帯債務」と解されてます)。つまり、連帯債務の関係にある場合、債権者は賠償額の全額を連帯債務者の全員又は一人に同時あるいは順次に請求することができます。
したがって、通常は、被害者である債権者は、まずもっとも資力のある債務者を相手に全額を請求します。そして、その者が支払った後は、支払った債権者から他の債権者にそれぞれの負担部分に応じた内部求償をすることになります(民法442条)。
しかし、他の債務者の中に支払能力のない債務者がいた場合は、支払った者と残りの債務者が分担することになります(民法444条)。このように連帯債務は、他の関係者の損害賠償分も負担することがあり得るという、被害者である債権者には心強い仕組みですが、企業経営者にとっては、注意すべき仕組みなのです。
とはいえ、共同不法行為責任を負う会社が、すべて破産などをするようであれば、この仕組みも無駄になってしましますし、これまでの類似のケースでは残念ながら、そのような結果になっていることも見受けられています。
ただし、今回のケースは、建築確認検査段階でのチェック見逃しという行政責任も存在するため、相当部分のところ行政による救済措置が講じられることになっているようです。
■ Question
当社は、建築工事と管工事の2つの業種について、知事許可を受け営業しています。今回建築工事について、隣県に支店を設けて積極的に営業拡大を図っていこうと考えています。この場合、建築工事の許可については2県にまたがりますから大臣許可が必要なことはわかりますが、管工事については、これまでのように知事許可で良いと思いますが、どのような取扱いになっているのか教えてください。
■ Answer
2つ以上の業種について、知事許可をもっている業者がある一つの業種について、他の都道府県に営業所を設けて営業しようとする場合には、すべての業種について、国土交通大臣の許可を受ける必要があります(建設業許可行政研究会編著「改訂18版 建設業の許可の手引き」13頁。大成出版社)。
業種別許可制における一般・特定の許可とは異なり、1建設業者にとって、知事許可業者か、大臣許可業者かの別しかないということです。
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