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耐震偽造 札幌市内のマンション33棟に疑い20060307毎日
マンションの耐震データ偽造問題で札幌市は7日、市内のマンション33棟に偽造の疑いがあると発表した。構造計算を請け負った市内の浅沼良一・2級建築士(47)が同市の聞き取り調査に対し、「構造計算書の偽装をした」と認めた。このうち6棟を同市が再計算した結果、5棟で耐震強度の1.0を下回った。震度5程度でも倒壊の恐れのある「0.5未満」はないため、当面は入居者に退去は求めず、調査を進める。残りの物件についても再計算を進め、大きな強度不足が見つかった場合は補強工事などの指導も視野に入れている。
同市によると、浅沼建築士は96年以降、他の設計事務所の下請けなどの形で、市内で79件の構造計算をした。最初のころは4、5階以下の低層の建物を請け負い、耐震強度をクリアしていた。
しかし、99年ごろから8〜15階の高層マンションを手掛けるようになると、耐震強度の1.0を上回らないケースが出てきた。それにもかかわらず、設計事務所などに相談しなかったほか、柱や梁(はり)を実際よりも強く見積もるデータをコンピューターソフトに入力し、基準をクリアさせたという。
同市などによると、浅沼建築士は2級の資格では手がけられない複雑な物件の計算もしていた。1級建築士の管理の下で行えば問題はないが、確認は取れていない。道や同市は建築士法に違反している可能性も含めて調査している。
33棟の大半には入居者がおり、建築中もある。この中には、北海道電力グループ会社「北電興業」(本社・札幌市中央区)が建築主である「エナコート大通22」(同市中央区)などがあった。また、33棟のうち同市が建築確認をした物件は16件あり、その他は民間の確認検査機関「日本ERI札幌支店」などが確認した。同市は市の確認物件以外は、これら民間機関に検証を依頼し、結果の報告を受ける予定。
昨年11月、姉歯秀次・元1級建築士による耐震強度偽造問題の発覚後、自主的に構造計算書をチェックする建築主やマンション管理組合が続出。その中で2月6日、同市内の設計事務所から「(浅沼建築士が)偽造したと話している」との通報があった。同市も同日のうちに浅沼建築士を呼んで事情を聞いたところ、認めた。
一方、この日会見した同市の田中透・都市局長らは「偽造を見抜けず、市民や居住者に心からおわびする」と謝罪した。【去石信一】
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道建設部によると、浅沼建築士が構造設計を行ったマンションや店舗などの物件は札幌市の79件を含め道内で112件ある。
道によると、112件のうち、79件が札幌市、13件が札幌市以外の人口10万人以上の4市(特定行政庁)にある。また、残りの20件は道が確認業務を行う他市町村になる。偽造の疑いがある33件はすべて札幌市内という。
今のところ、偽造の有無は浅沼建築士の証言に依拠しているため、道は関係する自治体に構造計算書の再検証を要請する。道は「偽造など建築士法に違反する行為が確認できれば、建築士の資格はく奪もありうる」と話している
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