|
建設業界イチゴに活路 久慈地方の8社 栽培に挑む20060627河北新報
公共工事の減少で厳しさを増す建設業界で生き残りを図ろうと、岩手県久慈地方の建設業者が合同でイチゴ栽培に乗り出した。国内産が品薄になる秋にイチゴを出荷し、副業の柱として経営基盤の強化を図るのが狙い。来年度の本格実施に向けてハウスを開設し、間もなく試験栽培に入る。業態転換のモデルケースとしても注目されている。
栽培に挑戦するのは、久慈市の6社と隣接する岩手県洋野町と野田村の各1社。東北農業研究センター(盛岡市)が開発した新品種「なつあかり」などを栽培する予定で、研究用のハウスも完成した。来月中に苗を植えて試験栽培を始める。
なつあかりは季節を問わず実をつけ、寒冷地の栽培に適している。四季栽培の従来品種より見た目も味も良く、輸入物が占める8、9月に市場に出せば、高値で引き取ってもらえるという。
イチゴ栽培のための研修は昨年秋から始まり、県建設業協会の経営支援センターや県久慈地方振興局が講師派遣などの形で支援してきた。販路も県内大手のスーパーがすべてを引き取る方向で交渉が進んでいる。初年度は15トンの出荷で1500万円の売り上げを見込む。
23日には、イチゴ栽培の専門家、奈良県の永座康全さん(66)を招いて、久慈の研究ハウスで実地研修を行った。8社の代表者らが参加し、無農薬栽培の仕組みや畝づくり、苗の育て方などの指導を受けた。
「久慈地方のやませの気候は栽培に有利。四季なりイチゴの栽培は簡単ではないが、新規参入の建設業の人たちは専門的なこだわりがない分、いろいろな手法を受け入れられ、見込みがある」と永座さんは激励した。
8社のほとんどは社員数人規模の零細業者や中小業者。久慈地方は2000年ごろに140億円あった県発注工事が40億円まで減った。公共事業頼みの経営からの脱却を迫られており、新規事業に期待をかけている。
ハウス6棟を構えて栽培に挑む野田村の野田工業社長小野聖一さん(64)は「農業をするのは初めて。不安はあるが、イチゴで建設業との両立を図っていきたい」と話す。
業者の多くは兼業の形式を取りながら、将来は新会社の設立など業態転換も念頭に置く。
県建設業協会久慈支部長の下斗米一男さん(65)=久慈市・下斗米組会長=は「軌道に乗るまで多くの苦労があるだろう。地域の雇用確保のためにイチゴ栽培を成功させたい」と意気込んでいる。
|