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新形式の連続立体高架橋構築法で工期を2分の1に短縮 戸田建設・ジオスター すいすいSWAN工法を開発 3種類のプレキャスト部材でアーチ式高架橋を構築する新技術20060106KENSETUPLAZA
戸田建設(株)(社長:加藤 久郎)とジオスター(株)(社長:篠原 喜代司)とは、(財)鉄道総合技術研究所の技術指導のもとでプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN(スワン)工法」(Segment Wings for an Arched New-bridge)を共同開発した。新形式の連続立体高架橋の急速構築技術として、関係各方面へ積極的に提案していく。
社会資本整備における近年の動向は、経済損失や環境への影響などの外部コストを考慮した事業評価方式に移行しつつあり、整備のスピードアップや周辺環境との調和がますます重要視されている。従来の高架橋建設工事は、経済性などの理由から柱・梁・スラブより構成される連続立体ラーメン構造(ビームスラブ形式)を場所打ちコンクリートにより構築するのが一般的であり、その工期短縮は改善すべき大きな課題である。また近年では景観配慮の面から曲線的な形状特性を採用する計画事例も増え、さらなる施工の煩雑さや工事の長期化を招く要因になっている。上記の改善策のひとつとしてプレファブ化が有効な手段であるが、従来のビームスラブ形式をそのままプレキャスト化する場合には柱と梁の接合方法などが難しく、埋設型枠などを採用したハーフプレキャスト方式による限定的な省力化や工期短縮にとどまるのが実状であった。
「すいすいSWAN工法」は、上記の課題を克服するために、フルプレキャストで構築するにはどのような高架橋構造が望ましいかという新発想から生まれた工法である。従来の梁・スラブ一体構造に対して、開腹型アーチ橋形式を応用したスラブ・アーチ梁の分離形式とすることで、フルプレキャスト化による急速施工を実現し、アーチ梁の曲線美が映えた景観配慮型の新しい高架橋形式である。
本工法の大きな特徴は、プレキャスト部材の分割法にある。基礎杭および地中梁の施工は場所打ちコンクリートであるが、地上部はすべてプレキャスト部材を組み立てて構築する工法であり、運搬上の制約から短辺幅3.0m・重量30t以下となるように、1.スタンド、2.半割アーチ梁、3.横梁・スラブの3種類の部材で構成する。スタンド部材は、従来工法における柱の役割を果たしアーチ梁を支持する部材である。半割アーチ梁はアーチ形状が有する耐荷性能と柔らかな曲線が醸し出す景観特性を併せ持つ、本工法の最も象徴的な部材であり、組立・接合性を考慮して左右の半割アーチを1つのピースとして製作したものである。横梁・スラブ部材は、橋軸直角方向の剛性確保を確保するための横梁とスラブの役割を担い、アーチ梁上に設置する。各部材同士の接合は、鉛直方向の接合にはスリーブ継手、水平方向の継手にはループ鉄筋継手の採用を前提としており、両継手工法とも実績豊富で信頼性の高い接合方式である。
本工法の施工手順は、1)基礎杭および地中梁を場所打ちコンクリートで構築したのちに、スタンドを地中梁に固定する。2)半割アーチ梁をスタンド上に立設し、アーチクラウン部に位置する接合部をループ鉄筋継手で接合しアーチ梁を完成させる。3)アーチ梁上に一定間隔に設けた受台に横梁・スラブ部材を並べるように架設する。4)最後にスラブ間をループ鉄筋継手により一体化し完成させる。架設に使用する重機はトラッククレーン、継手部の接合作業には高所作業車を使用するため、基本的に足場・支保工が不要となる。スタンド間をトレーラが進入して部材搬入するため、クレーンが旋回することなくすべての部材を架設でき、施工時に必要となる占用幅は高架橋の幅員内ですむ。
本工法のメリットをまとめると次のとおり。
プレファブ工法のため工期の短縮、省力化が図れる。(従来工法の約1/2に改善)
施工時占用幅を縮小できる。(基本的に高架橋幅員内の作業スペースで施工が可能)
アーチ梁形式のため従来のラーメン構造に比べ構造的合理性を追及でき、断面のスレンダー化及び躯体重量を軽減できる。
部材の大半が工場製作によるため、高品質で環境に優しい施工を実現できる。
アーチ梁形式のもつ曲線美により景観特性を向上できる。
戸田建設とジオスターでは、現在、設計体系の整備を完了し、実物大供試体による組立試験を計画中であり、本工法の実用化推進により社会資本整備向上に貢献したい考えだ。
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