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74万円を投じて橋の設計ミスを発見20060518日経コンストラクション
頻発する安値受注や相次ぐ改ざん事件を受けて,設計や施工の品質を懸念する声が急激に高まっている。例えば,和歌山県では2003年4月,国道480号にある三田1号橋の詳細設計で20カ所以上に及ぶ大量の設計ミスが見つかった。
この設計ミスを機に,和歌山県は2004年度から,設計の「クロスチェック」を実施し始めている。詳細設計が終わった後,照査だけの業務を詳細設計とは別の建設コンサルタント会社に発注。設計に誤りがないかどうかを確かめる。
2004年度に約50橋で設計のクロスチェックをした結果,重大な設計ミスが2橋で発覚した。2橋のうちの1橋が,県道那智勝浦古座川線にある小川1号橋だ。国土工営コンサルタンツ(本社,大阪市)が2000年3月に詳細設計を実施。2004年8月にしゅん工した。
県は2004年8月,同橋のクロスチェックをトーニチコンサルタントに発注した。同社が構造計算書や図面などを調べたところ,橋台にある胸壁の曲げ耐力やせん断耐力が約40%も不足。橋台や橋脚にあるフーチングの曲げ耐力も不足していた。
県はクロスチェックの予定価格を次のように積算している。まず,設計の積算基準にある直接人件費に着目する。直接人件費は,設計計算や照査,報告書の作成などの項目別に内訳が決まっている。次に,直接人件費のうち,照査費だけを抽出。照査費の50%をクロスチェックの予定価格とする。
小川1号橋の場合,詳細設計業務の予定価格は約2150万円。そのうち照査費は約160万円だったので,県はクロスチェックの予定価格を約80万円と積算。トーニチコンサルタントが74万4450円で落札した。「もし設計ミスを見逃すと,県は地震時に橋が落ちて死傷者が出るなどのリスクを抱えることになる。県の負担額は決して高くない」と同県県土整備部道路建設課の中家章夫班長は話す。
「高い材料を使うだけが品質の向上策ではない」
総合評価落札方式の入札で,品質確保策の提案を評価項目として盛り込む自治体も増えている。例えば,兵庫県は2006年2月,国道178号にある美の谷橋下部工事で,橋脚に打設するコンクリートの品質確保策を評価項目とする入札を実施。コンクリートに配合するAE減水剤の増量や脱型後のビニールシートを使った養生,単位水量の監視などを提案した新井組が3億7000万円で落札した。
「高い材料を使うだけが品質の向上策ではない」と指摘するのは,大林組技術研究所の十河茂幸副所長。例えば,Aという種類のコンクリートを使う工事があったとする。建設会社はAではひび割れが生じると判断。Aよりも高価なBというコンクリートを発注者に技術提案したとする。
ところが,これは本来の技術提案ではない。「施工前にAではひび割れが生じると想定できるのであれば,設計に不備がある。建設会社は,発注者に技術提案ではなく,設計変更を申し出るべきだ」(十河副所長)。
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