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中古ビル 華麗に変身 日本土地建物 用途転換事業を積極化 20060624FujiSankei Business i.
景気回復に伴い、オフィスビル市場は回復傾向をたどっている。ただ、新築の大規模ビルは人気を集める半面、古い中小ビルは苦戦するという二極化現象は強まる一方。こうした事象を踏まえ日本土地建物(東京都千代田区)は、築年数が経過したオフィスビルを用途転換するコンバージョン事業を積極的に進めている。これまで手掛けたのは5プロジェクト。すべて自社保有のビルだが今後は他社物件に関しても検討を進めていく。
≪賃貸住宅に≫
多くの運河が存在し再開発が進む、東京・芝浦(港区)。その一角の建物がクリエーターなどの注目を集めている。室内にガレージを設けるなどユニークな住戸によって構成されているからだ。
CM制作に携わる高橋敏郎さん(57)の部屋も特徴的。SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)として活用されている専有面積48平方メートルの室内には、2台の大型バイクが鎮座しているからだ。「オートバイと暮らすのが夢だった」という高橋さんは、仕事の合間に眺めるだけで癒やされるという。
また、時にはシートに座ってコーヒーを飲みながら休息。同居しているため、バイクの“体調”も敏感に把握できるという。
この建物は日本土地建物が所有する賃貸住宅「ラティス芝浦」。元は1986年に完成したオフィスビルで、今年1月にSOHOや一般住戸など計61戸の賃貸住宅として生まれ変わった。
建物面積は約6850平方メートルでオフィスから住宅へのコンバージョンとしては日本最大。各階間の高さが3・8メートルという建物構造を最大限に活用し、仕事場の提供だけでなく遊び心を充足できる空間を実現した点が売り物だ。
高橋さんはバイク関連の雑誌でこの物件を知った。住戸の玄関が広く、室内からそのままツーリングに出かけられることが魅力的だった。アトリエとして活用している部屋もあり、建物を改造するに当たってはバイクや大きな画材・機材を搬入できるように人荷用のエレベーターを新設した。
同社は東京・青山(港区)や神戸市で同様のプロジェクトを展開。5月には一般企業が迎賓館として使用していた建物を結婚式場へと蘇生(そせい)した。同社の中島久彰社長は一連の事業を通じて「住まいは賃貸でよいという層や、都心部の賃貸物件をセカンドハウスとして活用する層が確実に増えている」ことを改めて認識したそうだ。
≪再生依頼増加≫
07年以降、オフィスビルとして機能を果たさない物件が一段と顕在化する可能性は高い。これを見越し、オフィスビルを保有する企業からの“再生”依頼が増えている。
中島社長は「コンバージョンした建物には固定資産税の減免を図るなど政策のバックアップが必要」と指摘、「そういったものを引き出せるように実績を積み上げていきたい」としており、今後もコンバージョン事業を推進する計画だ。
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