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地下鉄談合 決別宣言の舌の根も乾かぬのに 20070126愛知新聞
談合のしぶとさはいまに始まったことではない。それでも決別宣言の舌の根も乾かぬうちとあっては、やはりあきれる。
名古屋市営地下鉄の延伸工事をめぐり名古屋地検特捜部が談合容疑で大林組、鹿島、清水建設の本社などを家宅捜査した。公正取引委員会も独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで三社の支店を強制調査、きのうは準大手、中堅ゼネコン計三社にも調査の手を広げている。
昨年二月と六月にあった計五工区四駅の入札で落札予定JV(共同企業体)を決めるなど、談合を繰り返した疑いだ。ことし入札予定の残り四工区でも事前調整の疑いが浮上した。
見逃せないのは入札時期だ。
大林組など三社を含む大手は改正独禁法施行前の二〇〇五年末、談合廃止を申し合わせた。担当者を頻繁に異動させるといった対策も取っている。
だが、地下鉄談合は宣言前に駆け込みで行ったというから、本末転倒もはなはだしい。
業者間には予定価格の95%を基準に、落札者だけがこれより安く応札するなどのルールがあった。昨年の入札でも温存したうえ、談合情報のあった一件では再談合して受注予定の工事を交換した疑いがある。
隠蔽(いんぺい)に等しい工作が事実なら悪質さは増す。決別宣言を国民の多くがまゆつばと感じたにしても、上場企業が平然と談合を続けていたとは許せない。
延伸工事の建設費は約九百九十億円にのぼる。落札率は94―92%台と高率だ。談合が価格を平均20%前後つり上げるという調査結果もあり、不当利益は百億円単位ということになる。
これに限らない。過去の市営地下鉄建設費一兆円あまりのうち約七割は国交省補助だが、談合は常態化していたとみられている。国民全体への背信だ。
名古屋市では下水道工事をめぐり大林組名古屋支店の元顧問が談合罪に問われ、起訴事実を認めた。元顧問を調整役とする談合疑惑は、中部国際空港や名古屋高速道路公社のからむ工事でも浮上している。不正体質の浸透ぶりを思い知らされる。
改正独禁法で公取委は強制調査権を得た。これまでは担当者に対する談合罪での訴追や行政処分である排除勧告止まりだったが、独禁法違反罪でゼネコンを立件すれば初めてとなる。
談合一掃は至難の業にしても、罰則は重く、抑止の武器とはなろう。厳しく追及したい。
日本経団連は法令順守を通知する一方、談合の厳罰化には消極的だ。しかし、割に合わないと実感させるには課徴金の水準は十分とはいえない。
たとえば変電設備用装置のカルテル疑惑を明らかにした欧州委員会は、日本企業に最高約百八十五億円の制裁金を科す方針だ。企業側は争う構えだが、姿勢の差は歴然としている。
発注者側の対策も怠れない。再三の談合を許した名古屋市は総点検が必要だ。水門談合事件で元国土交通省課長補佐らが関与を疑われるなど官製談合は国、地方とも根深い。あらゆる面から根絶に手を尽くしたい。
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