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落札率低下を評価 国交省幹部「あまりに短絡的」 財政審建議20071120建設通信
財政制度等審議会(財務相の諮問機関、会長・西室泰三東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役員)は19日、2008年度予算編成に関する建議(意見書)をまとめ、額賀福志郎財務相に提出した。その中で「(国の事業では)一連の入札改革により、平均落札率が低下している」と評価し、「引き続き、一般競争入札の拡大に取り組んでいく必要がある」と指摘した。低価格入札による品質への影響、建設業者の疲弊が懸念されている中、この建議に対して、国土交通省の幹部からは「あまりにも短絡的」との声が上がっている。
建議と同様の指摘は、ことし5月の経済財政諮問会議でも民間議員が主張していた。公共事業費削減の根拠の一つに「国、地方の一般競争入札の拡大で落札価格が低下する」ことを挙げた。これに対して、冬柴鉄三国土交通相は「落札率が85%を切ると品質が急に悪くなるという経験則がある」と反論した経緯がある。
国交省のある幹部は「平均落札率の低下を是とするならば、1円落札も是とするのか。もっと納税者の立場になって考えるべき。安物買いの銭失いで損をするのは納税者」と、落札率を重視した財政審の建議に対して強い反発を示した。
低価格での落札を歓迎する傾向について、脇雅史参院議員は、6月の参院国土交通部会で「実勢価格に基づいた予定価格を大きく下回ってまで落札するのは、労働者からの搾取を発注者が認めることにほかならない」と批判している。
中央建設業審議会(国土交通相の諮問機関)は9月にまとめた提言の中で「一般競争入札の拡大が、公共調達の課題のすべてを解決するものではない」と指摘し、入札・契約制度改革の究極の目的は「エンドユーザーである国民、住民に対し、価格と品質が総合的に優れた公共調達を実現すること」と強調している。
全国建設産業団体連合会の田村憲司会長は「公共事業はやればやるほど赤字が出る。特に土木専業者は公共事業を受注すれば赤字が増え、受注しなければ実績が落ちて廃業となる」と自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟制度検討部会(金子一義部会長)に訴えた現状と、財政審の建議は大きくかけ離れており、財政審委員の見識が問われる格好となった。
建議では、公共事業について、概算要求基準の対前年度比3%減を踏まえ、▽事業のメリハリ付けの強化▽入札改革の徹底▽コスト縮減の継続――などで重点化・効率化を推進することを求め、「公共事業予算全体の規模を抑制し、削減目標の達成を図っていくべき」と強調している。
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