|
建基法不況の現実(2)「生徒募集説明で約束したのに」、校舎建て替えめど立たず困惑する学校関係者20071122日経アーキテクチュア
施行から5カ月が経過しても、改正建築基準法ショックが収まる気配はない。学校法人の事業計画に支障を来すケースも顕在化するなど、「建基法不況」が各方面に及んでいる。建築確認の手続きに時間がかかり、スケジュールが読めないことが現場の混乱に拍車をかけている。
東京・成城の閑静な住宅地にある東横学園小学校も、建築確認の停滞のあおりでスケジュールの修正を余儀なくされた事例の一つだ。既存のグラウンドに新校舎を建てる計画で、当初は9月にも新校舎の建設工事に着手する予定だったが、11月上旬の段階では確認が下りず、杭打ち工事にも入れない状況が続く。
同小学校の沖田侃校長は、「今年の生徒募集の説明会で、来年7月から新校舎を使うと約束した。教育設備や内容の充実があってこその私学。約束を果たせないと困る」と嘆く。工事の遅れは、生徒の生活環境に影響を及ぼす。年間行事など教育計画も見直しが必要だ。保護者への説明責任も果たさねばならない。
校舎の建て替えを進めるきっかけは、2006年1月に施行された改正耐震改修促進法だった。建築物の所有者などに対する指導を強化するもので、自治体の指示の対象に小学校が追加された。指示に従わない場合、特定建築物の名が公表される。
「教室棟や体育館は築40年以上で、建て替え時期だったので解体する。1977年竣工の管理棟は補強して残す。既存建物を一部活用して事業費を抑えることにした」と、学校を運営する五島育英会総合計画室の渡辺透主幹は説明する。建て替え計画は、今年3月の理事会で正式決定した。
計画では、来年7月までに新たな教室部分をつくり、先に移転。09年3月末までに既存の教室棟の解体やグラウンド整備など残りの工事を進め、竣工したばかりの新校舎で入学式を迎えるシナリオだった。「まずは、夏休みから夏休みまでが一区切りと考えていた。3月時点では、改正建築基準法の施行で、建築確認が滞るとは思わなかった」と渡辺氏。
7月31日に起工式を開催し、体育館の解体工事と管理棟の補強工事を進めた。9月1日に確認が下りれば、そのまま新築工事に入れる。建築確認の取得に要する期間は約2カ月と見込んでおり、十分に間に合うと考えていた。だが、9月1日までに確認は下りなかった。目算は大きく狂った。「とにかくめどが立たないということが、わかってきた」(渡辺氏)。
確認が11月中旬に下りると仮定して、組み直した工程では、竣工は09年4月末にずれ込む。1カ月遅れまで縮めるのが精一杯だった。スケジュールの遅れは、工事費に跳ね返る。現場経費だけでも月額450万円。「工期を縮めるには、突貫工事が必要だ。時間外労働になるから作業員の割り増し手当てが必要になる。ゼネコンは遅れたのは自分たちのせいではないという立場だ。発注者の立場から言えば、事業予算の枠内でないと困る。時間との争いに加え、金額との争いも出てくる」。
|