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追跡やまがた:入札・契約制度改革 工事激減、苦しむ業者 山形20080420毎日
◇県は地元業界の育成模索
県は今年度、入札など公共調達の改善に取り組み始めた。談合防止だけでなく、安定的な品質確保や、技術力を持った地元業者の育成ができるように入札制度を変更するのが柱。建設業の現状を探った。【佐藤薫】
「仕事が増えても赤字が出る仕事が多い」「下請けはほとんど利益がない」「自転車操業で前払い金欲しさにダンピングしている」「建設業は農業と補完してきたが、今は両方だめ。制度改善だけでは解決できない」
県が昨年実施した建設業者への聞き取りでは、苦境を訴える声が相次いだ。
県内の建設投資額は、96年度の9600億円を頂点に、05年度は4816億円と半減した。しかし建設会社数は約5000社と横ばい。その結果、1業者あたりの建設投資額は約45%も低下した。
一方、県は、最上地方での農業土木談合事件を機に01年度から、一般競争入札の導入や予定価格事前公表を進めてきた。この結果、県土木部の建設工事の平均落札率は、01年度の93・6%から06年度の88・5%に下がった。特に落札率95%以上の工事は980件から286件に激減。逆に、利益が出にくいとされる落札率65%〜80%の件数は、51件から143件と3倍近くに増えた。
倒産件数は、全国的には00年をピークに減っているが、県内では96年の14件が06年には57件と増えている。
また、完成後の手直し発生率が05年度までは0・16%程度だったが、06年度0・53%、07年度(9月末まで)0・66%と上昇。工事品質も落ちている。最近は、必要な監督者を配置しないで指名停止になる業者も相次ぐ。
県が公共調達改善に乗り出したのは、このような背景がある。
改善の中身は、▽入札制度や建設業のあり方について、中立的、専門的な立場から審議、提言する第三者機関の設置▽最低制限価格導入などによるダンピング防止と、立ち入り調査による品質確保▽技術力や地域貢献、災害時の支援協力などを、入札や評価ランク決定に反映させることによる優れた地元業者の優遇−−などの方向性を打ち出したことだ。改善計画を実施し、結果を事後評価し、次の改善につなげるサイクルも導入する。
これに対し県建設業協会(山形市)は「公共工事は国より、県、市町村の方が少なくなっていて、地元に密着しているところはより苦しい。まだ方向性が示されただけなので、なるべく早く具体的な形にしてほしい」と期待を寄せている。
入札・契約制度改革で、建設業者保護に乗り出す県だが、まだ試行錯誤が続きそうだ。
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