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茨城・霞ケ浦導水 公共事業めぐり法廷対決20080521FujiSankei Business i.
■漁協「環境に影響。中止を」/国交省「1400億円ムダになる」
茨城県の霞ケ浦、那珂川、利根川を地下トンネル2本(計約46キロ)で結ぶ国の霞ケ浦導水事業をめぐり、那珂川の取水口工事中止を求める茨城、栃木両県の流域漁協と、国土交通省が対立を深めている。互いに有識者委員会を設置し正当性を主張して譲らず、争いは法廷に持ち込まれた。年明けには決定が下る見通しで、すでに約1400億円を費やした公共事業の意義があらためて問われている。
「30年前の計画を押し通すのはおかしい。今は環境をどう守るか考える時代」。漁協が今月10日に開いた委員会初会合で、東北大名誉教授の川崎健委員長(水産資源学)は国交省の姿勢に憤った。
一方の国交省も2月に委員会を設置。筑波大名誉教授の西村仁嗣委員長(河川工学)は「事業には巨額の費用がかかっている。今やめたら何もないのと同じだ」と事業推進に理解を示す。
事業は1970年代に首都圏への水の安定供給と霞ケ浦の水質浄化を目的に計画され、総事業費は約1900億円に上る。
▽一方的な通告
那珂川は全国一のアユ漁場で、漁獲量は年間約1000トン。漁協が反対しているのは、アユの稚魚などの吸い込みや、汚染がひどい霞ケ浦の水による生態系への悪影響が懸念されるため。これに対し国交省は取水口への網設置など対策を提示、話し合いを続けていた。
だが国交省は昨年11月に「予算がついた」と取水口着工を通告。「実物で対策効果を確認する」と説明するが、年度内に業者と契約して次年度も工事の予算を計上するためという役所の都合でもあった。
那珂川漁協の君島恭一組合長は「一方的すぎる」と猛反発。流域漁協は工事中止の要望書を提出したが受け入れられず、水戸地裁に3月末、工事差し止めを求める仮処分を申し立てた。
▽水需要は微増?
昨年12月、国交省は事業の完成予定を当初より22年遅い2015年度に延期した。計画変更は4度目。その間に水需要の伸びは鈍化し、02年には将来水が余ると予測した茨城県からの要請で、計画の縮小を余儀なくされた。
国交省は4月末、地裁に提出した意見書で、05年に開業した「つくばエクスプレス」など計画当初にはなかった新規需要を追加し「需要微増論」の補強に躍起だ。
第1回審尋後、漁協側代理人の只野靖弁護士は「首都圏にはすでに水が余っている。計画通り進めているだけの惰性の事業だ」と批判した。
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