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貸し渋り論争激化 当局「リスク取れ」×銀行「資金需要なし」20080711 産経新聞
中小企業に対する「貸し渋り」問題をめぐり、銀行業界や金融当局の“舌戦”が激しさを増している。景況感の悪化で中小企業の厳しい経営環境が伝えられる中、積極的な融資を促す当局に対し、業界側は資金需要の伸び悩みを指摘するなど、議論はかみ合わない。
「融資を申し込んだら、『金融庁から指導されている』と断られた」
貸し渋り論争の発端は、金融庁の相談窓口に寄せられた「苦情」だった。昨年来の地価上昇でミニバブルの懸念が示され、一部で不動産業界への融資を抑えるよう、金融庁が指導しているとの見方も指摘された。
渡辺喜美金融担当相は6月の記者会見で、「事実に反する」とうわさを否定し、「業況が悪化した中小企業に貸し渋り、貸しはがしということが出ているのでは。金融機関はリスクを取るべきだ」と指摘した。
しかし、地方銀行協会の小川是(ただし)会長(横浜銀行頭取)は「地銀で貸し渋りは思い当たらない。むしろ貸し出し競争が激しい」と反論。全国銀行協会の杉山清次会長(みずほ銀行頭取)も「中小企業は景気の影響を受けやすく、資金需要が盛り上がっていない」との見方を示す。
はたして貸し渋りは実際に広がっているのか。5月の全国銀行貸出残高をみると、伸び率は前年同月比1・6%増と5カ月連続で上昇。平成18年夏から続いた減少傾向に歯止めがかかった。スタンダード&プアーズの吉澤亮二主席アナリストも貸し渋りについては、「一部業種などに起きている現象」とみている。
ただ、原材料高で経営が厳しい中小企業は取引先や顧客に価格転嫁しにくいのは事実。中小企業が疲弊すれば、日本経済の土台が揺らぐ。金融庁も「警戒を怠ることなく注視していく」(渡辺担当相)構えだ。
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