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上司の叱責や過剰なノルマの強要で自殺、前田道路に3100万円の賠償命令20080703日経コンストラクション
前田道路の社員だった岩崎洋さん(当時43歳)の自殺は会社が課した過剰なノルマや上司の叱責(しっせき)などが原因だったとして、遺族が約1億4500万円の損害賠償を求めていた裁判で松山地方裁判所は7月1日、遺族の訴えを認めて約3100万円を支払うよう前田道路に命じる判決を下した。
判決によれば、自殺の発端は愛媛県にある同社の東予営業所の営業成績。所長だった岩崎さんは、営業成績を上げるために2003年5月ごろから、架空出来高などの不正経理を所員に指示していたという。
この不正経理の一部が2004年7月、東予営業所などを統括する四国支店で発覚。四国支店の工務部長と総務部長に問われて、岩崎さんは架空出来高が約1800万円あることを報告した。
「会社を辞めても楽にならないぞ」
架空出来高を解消するために、四国支店は会計年度内に是正する計画を作成。以降、四国支店の工務部長が工事日報を確認するなどして、岩崎さんや東予営業所の所員を指導していた。併せて営業成績について、岩崎さんが叱責されることもあった。
2004年9月10日の業績検討会では、会議の資料に不備が判明。資料を作成した所員が厳しく注意された後、岩崎さんも「会社を辞めれば済むと思っているかもしれないが、辞めても楽にならないぞ」などと厳しくしかられた。
この業績検討会の3日後の9月13日、岩崎さんは東予営業所の敷地内で自殺した。「怒られるのも、言い訳するのも、疲れました」という内容の遺書が残っていた。裁判の中で行った鑑定では、岩崎さんは2004年8月中にうつ病を発症していた。
裁判所は、残された遺書や業績検討会の3日後に自殺したことなどから、不正経理についての上司の叱責や注意と自殺との間に因果関係を認めた。
自殺の発端となった架空出来高については、「会計年度の終わりまでに約1800万円を解消するのは同営業所の営業環境では困難な目標値だった」と判断。是正策の達成を厳しく求めたことに対しても「自殺に至ることは予見可能だった」として、裁判所は会社の責任を認めた。
そして、上司の叱責や注意が、過剰なノルマ達成の強要や執拗な叱責に当たるとして違法なものと判断した。
ただし、上司の叱責などは岩崎さんの指示した不正経理が発端だと判決では認定。自殺した岩崎さんに6割の過失があるとして、賠償額を算定した。
原告の遺族側は過失の割合が納得できないとして控訴する。前田道路も事実認定に納得できない点があるとして控訴する予定だ。
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