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免震装置と制震金物、効き方はどう違う?20090115日経ホームビルダー
免震と制震は、地震に対する考え方がそもそも異なるので一概に比較できない
ここ数年、大きな地震が日本各地で相次ぎ、戸建て住宅向けの「制震」や「免震」に関連した製品や工法が数多く市場に出回っている。読者からも「免震装置や制震金物をどのように選んだらよいか」という声がいくつも寄せられている。免震と制震、それぞれの技術を扱うメーカーに、効果の違いや製品選択のポイントを聞いた。
免震装置は免震層で地盤と建物を切り離すことにより、建物にかかる地震力そのものを低減させる。一方、制震の仕組みでは、ダンパーの役割を果たすパネルや金物類が地震による建物の変形を抑制する働きがある。免震と制震は、地震に対応する考え方自体が大きく異なると考えたほうがよい。
免震装置のメーカー、IAUの北村二郎社長は「当社のシステムの場合、建物と地面を絶縁することで、建物全体にかかる応答加速度(揺れの強さ)を10分の1程度に低減できる。制震では、建物の1階部分は地面と同様に揺れるし、2階以上でも増幅を抑えるだけ。入力される応答加速度以下にすることはできない。効果には大きく差がある」と説明する。
一方、制震パネルを開発し、木造軸組工法用に改良して外販も行っているミサワホームの平田俊次常務は、「免震装置はコスト面での負担が大きい。違ったアプローチによる地震対策として、制震への取り組みを始めた」と話す。
住宅の耐震性を高めて地震による倒壊は免れても、内装の破損や家具の転倒による被害は建て主にとって大きな負担となる。「クロスが切れないで済むくらいに建物の変形を抑える」(平田さん)のが、制震パネルの目的となった。
免震、制震のいずれにしても各メーカーでさまざまなバリエーションがある。免震は、建築基準法の免震建築物関係告示において内容・仕様の規定があるが、制震についてはまだ公的な物差しはない。「採用の際には、性能や自社の構造との相性、メーカーのフォロー体制なども含めて吟味する必要がある」と平田さんはアドバイスしている。
免震装置や制震金物の性能の表示方法は、メーカーや製品によってまちまちなのが現状だ。「地面の揺れに対して応答加速度を1/10程度に低減する」(免震装置の例)といった表現に加え、「揺れを50%低減する」「建物の変形を50%低減する」(制震金物の例)など、さまざまな表現があり比較しにくい。
一般に、制震金物の場合は増幅された2階部分の揺れを基準にした低減効果を示しており、免震装置の場合は、地震力そのものに対する低減効果を示している。そもそも前提となる比較対象が異なるのだ。カタログなどに掲載されている数値を比較する場合でも、こういった「免震」と「制震」の特性の違いを理解したうえでの判断が欠かせない。
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