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LIXIL/伝統的な焼き物技術の継承に注力/建造物復元事業の担い手に20121108建設工業
LIXILが、歴史的に価値の高い建造物の復元事業を通じて、伝統的な焼き物技術を後世に継承する取り組みに力を入れている。保存・復元工事を終えて10月1日に全面開業したJR東京駅丸の内駅舎(国の重要文化財)では、戦災によって焼失した南北のドーム部分を含む3階部分の外壁に使われた化粧れんが50万枚の復元を約7年にわたって手掛けた。担当した後藤泰男広報部文化企画担当部長は「歴史的な建造物を復元したいというニーズに確実に応えられるよう、これからも技術の継承を続けていかなければならない」と話す。
同社によると、伝統的な焼き物を復元するのに必要な技術を持っている企業は年々減ってきている。作業が極めて難しく、費用もかかる割に、得られる利益が少ないことが大きな理由だ。復元事業に対応できる焼き物メーカーは、国内にはもうわずかしか残っていないという。しかし、後藤部長は「利益を度外視してでも取り組む価値がある」と復元技術の文化的・社会的意義を強調する。同社の伝統的焼き物の復元事業は、愛知県常滑市にあるINAXライブミュージアムのものづくり工房で行われている。この工房では、過去の優れた建築物に使われたタイルやテラコッタの復元・再生に取り組み、焼き物づくりの技術を後世に伝える活動などを行っている。
同工房が復元に関わった歴史的建造物には、JR東京駅丸の内駅舎のほかに、岩手銀行中ノ橋支店(旧盛岡銀行本店、国の重要文化財)や日本工業倶楽部会館(国の有形文化財)などがある。JR東京駅丸の内駅舎の保存・復元工事に当たっては、これまでに歴史的建造物の復元に積極的に取り組んできた実績を持つタイルメーカーのアカイタイル(愛知県常滑市、赤井祐仁社長)とタッグを組んだ。03年に化粧れんがの試作に着手。7年の歳月をかけ、計1万5000枚を超す試作を経て完成に至った。
復元事業の対象は、丸の内駅舎のような大型建造物ばかりではない。例えば歴史上の人物が住んだ邸宅などのように、小規模な建物でも幅広くニーズが発生する。対象物件によって復元の難しさもさまざまだ。「あらゆるケースに対応できるメーカーでありたい」(後藤部長)との言葉に、伝統技術を守り続ける企業の心意気がにじむ。
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