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ひび割れの発生確率を6割減らしたコンクリート20130624日経アーキテクチュア
安藤ハザマと住友大阪セメントは、香川大学の堺孝司教授と共同で、ひび割れが起こる確率を従来より約6割小さくした「ローカーボンハイパフォーマンスコンクリート」を開発した。施工後の内部発熱や乾燥収縮が小さい原料を用いることによって、温度ひび割れや乾燥ひび割れのリスクを抑制する。今年の9月ごろまでに試験施工を終了し、10月以降の製品化を目指す。
開発したコンクリートは、セメントの重量を40%減らし、代わりに高炉スラグ微粉末を20%、フライアッシュを20%使用する。
高炉スラグ微粉末は高炉で銑鉄を作る際に発生する副産物。水和速度が遅くコンクリートの温度上昇が小さいので、温度ひび割れを抑制する効果がある。ただし、自己収縮や乾燥収縮が大きいため、乾燥ひび割れのリスク低減は期待できない。
もう1つのフライアッシュは、石炭火力発電所で発生する副産物。高炉スラグよりも発熱量や発熱速度が小さいうえ、自己収縮や乾燥収縮も小さい。このため、温度ひび割れ、乾燥ひび割れの両面で抑制効果を発揮できる。ただし、初期強度の発現が遅く、中性化の進行が早いという欠点もある。こうした、2つの材料の長所と短所を踏まえたうえで、配合を変えながら試験を繰り返したところ、両方を20%ずつ使用することが最もバランスがよいと判断したという。
ちなみに、壁厚1m、高さ5m、長さ10mのマスコンクリート構造物を想定して、コンピューターで温度分布をシミュレーションしたところ、開発したコンクリートは、普通ポルトランドセメントよりも内部温度が6.6℃小さいとの結果が得られた。これらの効果により、目視で確認できるレベルのひび割れが起こる確率は約28%となり、一般的なポルトランドセメントの約92%と比べると、約64%低くなった。
CO2排出量を45%減らす効果も
新開発のコンクリートには、CO2排出量を削減する効果もある。材料に使われている高炉スラグ微粉末やフライアッシュは産業副産物であり、セメント材料と違って焼成工程で発生するCO2はカウントされない。そのため、これらの材料のCO2排出量は、いずれもポルトランドセメントの20分の1以下になる。コンクリート材料全体でみると、CO2排出量は約45%削減できるという。
ただし、一般に高炉セメント系のコンクリートは、初期強度が小さいため、建築躯体のように早期に強度を要求される現場では向かないとする見方もある。この点について安藤ハザマでは「このコンクリートについては、材齢3日で鉛直面の脱型に必要とされる強度5N/mm2を上回ることを確認している。建築現場でも十分使用することができる」としている。
また、施工単価については「今後、実構造物での試験施工をして精査するが、ポルトランドセメントを利用する場合と比較して、さほど大きなコストアップにはならない」(同社)と見ている。
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