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中国、化粧しきれぬ貿易数字 人民銀が輸出入マイナス予測 「ゾンビ」維持20160609Sankeibiz
中長期的なマイナス傾向が貿易統計にくっきり表れた中国で、経済の先行き懸念が一段と強まっている。
国内総生産(GDP)など経済統計で信頼性に欠ける中国だが、取引相手が海外にいるだけに貿易数字は化粧しきれず、経済実態に近い。
海外事情をよく知るエコノミストを多数抱える中国人民銀行(中央銀行)。今年通年の輸出が前年比1.0%減少するとの予測を8日、公表した。3.1%増と希望的な観測をしていた昨年末の予測から判断を一転させた「良心的なリポート」(市場関係者)だ。
輸入の予測も3.2%減と、昨年末の2.3%増から下方修正した。
人民銀行が輸出入ともマイナスに予測を変えたことは注目に値する。中国が世界からモノを買う力も衰えている。
さらに国内では、習近平指導部が「新常態(ニューノーマル)」と呼ぶ経済構造改革の遅れが危険水域に達しつつある。鍵を握る赤字続きの“国有ゾンビ企業”退治が、既得権益層の抵抗で進まないからだ。
ルー米財務長官が米中戦略・経済対話の閉幕後、7日の会見で「中国が過剰生産の解消を確約した」と述べた鉄鋼分野。だが、8日の貿易統計で1〜5月の中国の鋼材輸出が数量ベースで、前年同期比6.4%増だったことが分かった。
中国紙によると、鋼材の市況が上向いたため、休眠中の工場が相次ぎ操業再開しているという。複雑に権益がからみあう地元の鉄鋼メーカーを閉鎖されたくない地方政府の幹部らが、あの手この手で中央政府の意向に反し、赤字ゾンビ工場維持の道を探している。
中国の鉄鋼過剰生産にいらだつ米国は5月、国際貿易委員会(ITC)が中国メーカー40社の工場や価格に不公正な点がないか、調査を始めた。ほかにも構造調整の遅れが中国経済の失速につながると懸念する有力格付け機関が、相次いで厳しい目を向けている。
ムーディーズとスタンダード・アンド・プアーズは中国の信用格付けの見通しを「安定的」から格下げの可能性もある「弱含み」にそれぞれ引き下げて、対中警戒感をあらわにした。(上海 河崎真澄)
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