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生産性の付加価値追求/レベル見極める尺度議論/国交省20160704建設通信
国土交通省は、施工体制が複雑化していることで、その評価が難しい建設産業における生産性の定量化に取り組む。生産性の向上がもたらす“付加価値”を定量化することで、産業全体のレベルアップに役立てることが狙い。使い方によっては、中小・中堅建設企業の生産活動や経営面での「生産性レベル」を見極める尺度(指標)になる可能性もありそうだ。
省人化や、それに伴うコスト削減への効果といった生産性の向上による価値を建設産業としてどうとらえるべきか。この課題に「地域建設産業生産性向上ベストプラクティス等研究会」(委員長・藤井一郎四国大教授)で検討が進んでいる。
国交省は1日に開いた第2回の会合に、生産性の考え方として、付加価値を労働投入量で除す「付加価値労働生産性」を軸に考える視点を提示。要素となる「付加価値」や「労働投入量」をどう算出していくか、議論した。
焦点は、コストにも経営資源にもなる労務費や下請けへの外注費をどうとらえるか。この労務費や外注費をどこまで付加価値に組み込んで考えるべきなのか、難しい選択に迫られている。
というのも、一般的に建設産業における付加価値とは「利益額(工事粗利益)」を指すケースも多い。一方で、建設産業は現場での施工を担う技能労働者(労務費)によって支えられている。外注費も建設産業という全体の枠組みから見れば、流出するコストではなく、建設業の付加価値を構成する要素であるという見方がある。
実際に付加価値を工事粗利益とするA案、工事粗利益と労務費を足し合わせたB案、それに外注費をも含めたC案という3つのプランを用意。これを技能労働者数といった「労働投入量」で除すことで、技能労働者1人当たりの付加価値を導き出す算出式を示しているが、複雑化する施工体制の中で、元請けの財務諸表に載らない3次や4次といった下請けの外注費を正確に追うことが難しいといった声もある。
産業全体の視点で考えれば、労務費や外注費をコストではなく、経営資源としてとらえるB案やC案が望ましいというのが、国交省の本音。人で成り立つ建設産業だけに、しっかりと直用で技能労働者を抱えている企業が、人を育てる(1人当たりの生産性を上げる)ことで利益を出していくという1つの流れを作り上げたい思いは強い。
付加価値を推し量る算出式をどう設定するか。そこが固まれば、その付加価値を増大させるための優良事例(ベストプラクティス)の水平展開が見えてくる。
B案による尺度を用いて、元請企業の社員1人当たりの生産性を高めていくのか、あるいはC案によって下請の労働者を含めた生産システム全体の生産性を推し量っていくのか、今後の議論に注目が集まる。
■地域建設産業生産性向上ベストプラクティス等研究会
中小・中堅建設企業の経営環境の改善や生産性の向上を目的に、優良事例となるベストプラクティスの「見える化」を始め、企業の生産活動や経営面での生産性を上げる建設業版「生産管理モデル」の構築に取り組む。担い手の確保や生産性の向上をターゲットに中小・中堅建設企業の取り組みを後押しする国土交通省の「地域建設産業活性化支援事業」の一環として立ち上がった。
研究会のメンバーは、中小企業診断士として建設企業の経営支援を行った経験も持つ藤井一郎四国大学教授を委員長に、石岡秀高氏(石岡組専務取締役)、犬飼あゆみ氏(中小企業診断士)、野中賢氏(日経コンストラクション編集長)、藤原一夫氏(中小企業診断士)、隆籏達生氏(ハタ コンサルタント代表取締役)の6人で構成。
オブザーバーとして、天川紀子日本建設業連合会環境部次長、天本武建設産業専門団体連合会日本躯体事務局長、古市義人全国建設業協会事業部長、山田安良全国建設産業団体連合会総務部次長が参画している。
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