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ドローン市場に熱視線/異業種参入相次ぐ/業界は連携不可欠20160916建設通信
測量やインフラ点検・診断などの「建設関連ドローン市場」に、異業種企業の参入が相次いでいる。国土交通省が2016年度から本格始動させたi−Construction(アイ・コンストラクション)や、担い手不足の一方で増大する老朽インフラなどを背景に、建設産業界で今後、ドローン活用が急速に進むのは確実だ。比較的安定し、成長も見込まれる有望市場に企業が参入するのは当然の流れ。全産業的に見てこれまで、建設産業のICT(情報通信技術)活用が遅れていたのは事実で、ICT分野に長けた異業種との連携・協力は不可欠になってきている。
日立システムズは、建設業界などをターゲットにした「ドローン運用統合管理サービス」を13日から始めた。測量現場での操縦・撮影や、エリアによって必要となる飛行申請手続きなどを代行する。撮影画像の3次元化やデータ保管などのサービスも取りそろえる。
キヤノンマーケティングジャパンは5日、産業用ドローン製造・開発のプロドローン(本社・名古屋市)に1億円を出資したと発表。インフラ点検などさまざまな分野で活用が進むドローンの関連ビジネスを本格展開する。デンソーも4月に、ヒロボー(広島県府中市)の協力を得て、道路橋などのインフラ点検に使う産業用ドローンを開発済みだ。
ソニーモバイルコミュニケーションズとロボットベンチャーのZMPが、15年8月に設立した合弁会社エアロセンス(東京都文京区)は、東日本大震災復興工事の大規模土量測量や除染事業の除去物点検などで、自律型ドローンシステムの採用実績を着実に積み上げ、大幅な業務の効率化や省人化、コスト削減といった効果を上げている。
ドローンの活用先は、土木分野以外にも広がりを見せる。エアロセンスは古河電工グループの商社、古河産業(東京都港区)と組み、ドローンによる風力発電所のブレード点検サービスを8月から開始した。東芝と車載機器大手のアルパインは5日、産業用ドローンを使った電力インフラの巡視・点検サービス事業で提携すると発表。送電線や鉄塔の点検業務などの効率化と安全性向上に貢献する。
ERIホールディングスは、建物の診断・調査にドローンを積極導入するため、外壁クラック調査の実証実験を進めている。ファナティック(仙台市)は10月から、ドローン空撮で地形や建築物をデジタルデータに変換する3次元データ制作実験を始める。高画質で建設現場の紹介動画を作成する映像ソリューション事業なども登場している。
生産性「革命」と言うからには、既存の市場や業態に相当の変化が訪れるのは必然。富士フイルム、NEC、三菱電機、沖電気工業、リコー、綜合警備保障など、国が進めている次世代社会インフラ用ロボットの現場検証事業には、大手メーカーなどの異業種がずらりと名を連ねる。
建設関連ドローン市場に参入した異業種企業の中には、保有する技術・システム、ノウハウなどの提供を通じた測量会社や建設会社の側面支援をメーンにしながらも、継続的な点検・診断・措置・記録が求められるインフラ維持管理分野の業務などで、施設管理者からの直接受注を視野に入れる企業もある。
日進月歩のICTの活用に当たり、建設産業界が異業種と連携することが不可避な一方、新規参入側も現場を知らないなどの弱みがあり、将来も業界の中心に建設会社が居続けることは間違いない。i−Conを推進してきた国交省幹部は「建設業界は、取って代わられるなどと考えるのではなく、いま現場で何が求められているか、どういったシステムが必要かなど、使う側としてコンセプト提案を積極的に行っていくべき」と指摘する。
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