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国交省/都市計画制度見直し着手/最優先に空き家・空き地対策20170216建設工業
国土交通省は15日、都市計画制度を約10年ぶりに抜本的に見直す作業に入った。最優先課題は人口の減少に対応する都市づくりの誘導。今後、5年程度かけてすべての課題を洗い出し、来年から段階的に都市計画法など関連法令の改正を進める。当面は全国で増え続け、良好な都市形成に支障を来す空き家(店舗)・空き地の対策を優先。発生の抑制やストックの有効活用につながる制度への改正を急ぐ。
当面の見直し作業は、社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)都市計画・歴史的風土分科会に同日設置した都市計画基本問題小委員会(委員長・中井検裕東工大環境・社会理工学院教授)が担う。6月に事実上の最終報告になり得る「中間とりまとめ」の案を示してもらう。
同日の初会合であいさつした国交省の栗田卓也都市局長は、現行の都市計画制度が人口減少などの社会経済情勢の変化に十分に対応できていない状況を指摘した。その上で、18年度から段階的に関連する法令改正や必要な予算・税制措置を進めることを表明した。
今後、国交省は都市の中心部と郊外の両方で増え続ける空き家・空き地の対策を強化するための制度改正の議論を先行。所有者に対し、土地と建物の利用の放棄や事業の撤退を抑制させたり、開発や建築を伴う都市的な土地利用以外に農地などへの安定的な用途転用を誘導したりする仕組みの導入を検討する。
利用の放棄や事業の撤退を抑制させる具体策として、行政と所有者(民間事業者)の間で、あらかじめ土地・施設の使い方や運営・撤退のルールを定めた協定を結んでおくやり方などを探る。
最短で来年の通常国会に空き家・空き地対策の強化規定を盛り込んだ関連法案を提出する。
国交省が空き家・空き地対策を急ぐ背景には、発生が比較的小さな敷地単位で、時間的・地理的にばらばらに相次いでいる現状がある。この現象を内部に細かな穴が無数に空いたスポンジに見立て「都市のスポンジ化」と表現。人口減少に対応して推進している職住機能集約型の「コンパクトシティー」づくりに大きな支障を来すとみられている。
野村総合研究所の予測によると、2033年に空き家数は現在の3倍弱の約2150万戸にまで増える。
国交省は都市計画制度の中長期的な課題として、今後の地方自治体の職員減少をにらみ、より柔軟かつ幅広い民間の都市計画コンサルタントの活用方法も検討していく。
都市計画制度の主な検討課題は次の通り。
■空き家・空き地の増加(都市のスポンジ化)への対応
△空き家・空き地の発生抑制
△都市的利用以外の安定的な用途転換
■生活サービス機能(医療・福祉など)の確保
△建築・開発後の維持管理段階までの制度運用
△都市計画決定プロセスへの住民参画
■地域にふさわしい土地利用の実現
△周辺環境とかい離した建築・開発防止
■郊外開発の抑制
△コンパクトシティーづくりとの整合
■住宅地の災害対策
△木造住宅密集市街地の早期解消に向けた権利調整の加速
■都市施設(都市計画道路など)の計画的整備
△都市計画決定権者の地方自治体の自発的対応
△建築・解体技術の進展を踏まえた建築制限の緩和
■生活圏の広域化への対応
△単独の市町村の枠を超えた広域的視点を都市計画に反映
■多様な主体の参画
△民間まちづくり活動に対する政策的関与。
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