|
地下空間リスク低減/国交省 社整審・交政審小委/安全技術確立へ地盤情報共有化20170208建設通信
【民間データの収集・協力不可欠】
地下空間の利活用における安全技術の確立へ、国土交通省の有識者会議の検討がスタートを切った。焦点となるのは、目に見えない地盤や地下水の状況を的確に把握する「情報の共有化」だ。収集した情報を活用して地下工事における「安全技術」を確立するには、公共が持つボーリングデータや施工時の情報だけでなく、民間が所有するデータをいかに集めるかといった点がポイントになりそうだ。 =関連2面
6日に社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会の技術部会 「地下空間の利活用に関する安全技術の確立に関する小委員会」 (委員長・大西有三関西大環境都市工学部客員教授、京都大名誉教授) を開催。今後の議論の方向性を提示した。
論点となるのは、「地下工事の安全技術の確立」「ライフライン等の埋設工事における安全対策」「地下空間における適切な維持管理への誘導・連携」「地下空間に関わる諸課題への対応」の4点。
特に官民が所有する地盤・地下水等に関する情報の共有化や、その情報を活用した計画・設計・施工の各段階における地盤リスクのアセスメント(影響評価)の実施が焦点になりそうだ。
■データベース化で地盤情報事前把握
実際に委員から「安全性の向上を図っていく上で自らが施工する場所の地盤情報のみならず、周辺の地盤情報まで正確に把握しておくことは極めて有効になる」とする意見が出たように、前提となる地盤情報の把握が目に見えない地下空間でのリスク低減に大きな効果を発揮することは明らかだ。地盤データの共有化(データベース化)は安全技術の確立にとって、いわば出発点と言っていい。
しかし、地盤情報の収集で言えば、直轄の道路・河川・港湾事業などの地質・土質調査の成果(ボーリング柱状図や土質試験の結果といった地盤情報)を提供する国土地盤情報検索サイトこそあるが、民間の地盤情報を共有化できる仕組みはできていない。
■ルールづくりに立法化の必要も
「官サイドの地盤情報は共有化がなされてきて、それがシステム化もされている一方で、民間サイドの地盤情報をどう共有化するかがポイントになる。本来は地盤も含めて財産権ということなのだろうが、そこから一歩踏み出す必要があるのではないか」との指摘があるように、精度の高いデータベースの構築には、ライフライン事業者を始めとする民間事業者の参画が不可欠だ。
特に「情報が増えることはメリットだが、増えていく情報の“質”をどう担保していくかが重要」「占用業者に埋設物の位置や深さを正確に申告してもらうルールづくりが必要」「まずは(情報を提供してもらう)協力ということになるが、それ以上となると立法化ということになる」といった意見も出た。
■地下空間の利活用に関する安全技術の確立に関する小委員会
昨年11月に発生した福岡市の道路陥没など、地下空間をめぐる重大事故の発生を受けて、石井啓一国土交通相が社会資本整備審議会・交通政策審議会に「地下空間の利活用に関する安全技術の確立について」を諮問。昨年12月に検討のフィールドとなる小委員会の立ち上げを決めた。小委員会は、次回以降に各論点に関する関係者へのヒアリングを実施。5月ごろに骨子案、6月ごろをめどに一定のとりまとめを行う見通し。
小委員会のメンバーは、▽大西有三(委員長、関西大学環境都市工学部客員教授、京都大学名誉教授)▽秋葉正一(日本大学生産工学部教授)▽家田仁(政策研究大学院大学教授)▽大森文彦(東洋大学法学部教授)▽桑野玲子(東京大学生産技術研究所教授)▽小長井一男(横浜国立大学理工学部教授)▽小山幸則(立命館大学総合科学技術研究機構客員教授)▽徳永朋祥(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)▽西村和夫(首都大学東京副学長、都市環境学部教授)▽花木啓祐(東京大学大学院工学系研究科教授)▽村木美貴(千葉大学大学院工学研究科教授)−−の11氏(敬称略)。
|