|
**ニッコン e-建設経営通信 【第200号】**
■ Question 1
建設業法上の営業停止処分や指示処分が行われるときはどのような手順を踏むのでしょうか。
■ Answer 1
建設業法の営業停止処分や指示処分は、処分を受ける建設業者にとって、不利益処分に当たります。
このため、平成6年10月1日から施行されている行政手続法に基づく手続きを経たうえで行う必要があります。
まず、営業停止処分については、同法15条以下で定める聴聞の手続が必要です。
聴聞は、予め指定された期日・場所に関係者の出頭を求め、処分庁が指定した職員により、予定される不利益処分の内容、根拠条文、原因となる事実を説明します。
出頭した者は意見を述べることもできます。
処分庁の職員が作成する聴聞調書と報告書を参酌して、営業停止処分が行われます。
しかし、前述の聴聞手続は、処分予定者にとっても大きな負担となることから、通常は、15条2項1号の規定を活用して、聴聞期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類の提出で対応しているのがほとんどのようです(営業禁止の処分の場合には、厳格な聴聞手続を実施しているようです)。
これに対して、指示処分の場合は、同法29条にも基づく弁明の機会の付与の方式によって行われます。
口頭による弁明の機会を付与することもあり得ますが、通常は、処分を受ける予定の者が弁明を記載した弁明書を提出しているのがほとんどです。
この弁明書の提出後に指示処分が行われています。
【参考条文】
●行政手続法第15条(聴聞の通知の方式)
行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 聴聞の期日及び場所
四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
2 前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。
一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証 拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書 及び証拠書類等を提出することができること。
(以下略)
●行政手続法第29条(弁明の機会の付与の方式)
弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。
2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。
■ Question 2
わが社では、会社の経営目標に対して売上(完工高)は達成していますが、利益についてはここ数年未達が続いています。
現場の決算を調べると、会社必要利益(会社設定の粗利益率)を獲得している現場が減少し、大きく不足をしている現場が発生するなど獲得利益にばらつきが生じていることがわかりました。
一律に会社必要利益率を設定するのではなく、個別の現場ごとに設定する考え方とはどのようなことでしょうか。
■ Answer 2
建設の環境は大きく変わり、【取ってしまった仕事】を現場だけで成果を上げることは、今の時代では不可能と言えます。
「今年は案件が少なく受注が予定通り取れそうもないので、工事に何とかしてもらおう」「とにかく受注目標は達成したので、あとは工事の頑張り次第」といったことで、漠然と工事にノルマをかけても経営目標とする利益は獲得されないでしょう。
■ 公平な獲得利益目標の設定
たとえば、サービスを提供することによって顧客との信頼が築かれて【特命】として発注者から頂戴した工事と、価格要求がある物件で顧客貢献機会を獲得するために競合他社と【競争】によって獲得した工事に対する現場への目標の設定はどうでしょうか?
会社が必要とする利益率(粗利益率)を意識しながら多少の差をつけて必達目標としているケースをよく見受けます。
目標が取組の難しさとして適切(公平・公正)に設定されずに、「とにかく、がんばって来い」というのでは気持ちの問題として理解できても、「やれるだけのことはやりました」という目標未達に対して気持ちとしての言い訳が容認されるようになってきます。
求める利益水準を工事の条件や受注の状態を無視して設定すれば、高いハードルとなった現場は『あきらめ感』や『他の現場との不公平感』から、与えられた目標へ「チャレンジして行こう」という意識がなく、出来ることだけをやってしまうことになり、大きく目標を下回る結果を発生させます。
また、もともと利益が期待される現場に対し、見掛けは高い利益率であるが実態は低いハードルとなってしまった場合は、利益獲得への活動が『ゆるい』ものとなってしまい、本来期待しなければならない利益は獲得されなかったという結果になります。
すなわち、「この現場はこの利益」というように明確で適切な目標数値を指示できる仕組みがないことには、全ての現場成果は不適当であるといえます。
物件によって受注の条件や利益の設定が異なります。
それぞれの物件に対し、同じチャレンジ度(原価低減目標など)を設定することが、成果獲得においては重要なことになります。
受注時点においての条件を考慮した精度の高い原価予測が算出可能なことによって、設定しなければならない利益率が明確になります。
受注金額=見積時算出の工事原価+受注時の営業設定粗利益 ということになります。
したがって、ありえないことですがまったく同じ建物が2つあって、かたや特命・かたや競争で受注した時にそれぞれ受注金額が異なっている場合は、受注時の営業が獲得した粗利益に違いがあることは判ると思います。
その理由は見積時算出の工事原価が同じ水準(この場合は同じ金額)にあるからこそ、はじめに書いた計算式から導き出される受注時の粗利益の状態の違いがどれだけなのかが明確に判るのです。
標準的な仮設の考えや、仕事のやり方に対する標準的な単価(標準単価)を具備して、その標準単価を基にして工事の特性を考慮した平等な水準と考えられる基準単価のようなものによって、見積時の工事原価がすべての工事で算出されることが現場の目標設定に必要なことになります。
基準単価は、ほぼ標準的な仕事と考えられる工事であれば標準単価が採用されます。
したがってある仕事の標準単価が1,000/m3(立米)のとき、夜間工事の現場の場合では、たとえば1,500/m3(立米)と設定することになります。
利益設定の考え方
受注金額 基準工事原価 営業獲得利益
≪一次予算≫ ― ≪ 落札予定価格≫ = ※受注の状態によって
〜発注者の予算〜 〜見積時原価予測〜 設定異なる
↓
【工事獲得利益目標】
↑
基準工事原価 実施工事原価 工事獲得(目標)利益
≪一次予算≫ ― ≪指示予算≫ = ※平等な目標水準の設定
〜見積時原価予測〜 〜目標実行予算〜
ひとつは受注時に設定される『営業獲得利益』で、これは受注金額に影響されてしまいます。(利益の設定にバラツキが生じる) もうひとつは工事によって獲得(回復)の目標として設定される『工事獲得利益』で、これは全ての現場において利益獲得の難しさを公平にすることを考えますから受注金額に影響されることはありません。(難易度にかかわるためバラツキが生じる受注金額に影響されてはいけない)
現場獲得目標利益は会社の必要な利益と現状の予測から考察される不足分を全現場に公平な率(%)で配賦することになります。
このように、現場がいくら儲けなければならないのかは、営業と工事の二つで設定することがポイントになります。
|