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ホワイトデーお返し調整会議

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 ホワイトデーのお返し、それは思惑渦巻く男子達の正念場。切ない思いの決戦場。

 昨年完成させました短編小説『ホワイトデーお返し調整会議〜 男子達の関が原 〜』を校正して読みやすくしましたので、是非お楽しみください。↓

http://ip.tosp.co.jp/bk/TosBk100.asp?I=gyoja&BookId=2

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 ケータイ電話、出会いと合コンの玉手箱を突如喪失した小早川ケンタはパニックになった。二人乗りをしている状況で、島津に自分の携帯を投げ捨てた理由を問いただすことも出来ないし、そもそも島津さんは怖そうなのだ。
 

何よりも怒られることが苦手な小早川ケンタの気分は、しばらくすると携帯電話を勝手に捨てられたという憤りから、失った携帯電話のアドレスをいかに回復するかということに遷移していた。

 そんな小早川を乗せる島津隊のママチャリは、二車線を走行する車両と車両と間を縫うようにして走っている。なんかNYのバイシクルメッセンジャーみたい。いや、実際には見たことはないが、何かカッコいい気もしてきた。切り替えの早い小早川ケンタは、勇壮かつモダンなイメージを自分達に重ねて気分が上向きつつあった。
 

が、小ぶりなママチャリをこぐ身長180Cmを越す巨漢、島津警備員の姿は、傍目にはボリショイサーカスのヒグマように見えていた。そしてそのヒグマにつかまって二人乗りする若い男。どうみても島津隊は夜のキタの見世物であった。自転車が大阪市役所を過ぎ、大江橋を渡りきったところで小早川は島津に尋ねた。

 「島津さん!我々は、新地の割烹、「関が原」に向かっているんですよね!?」

 「。よかや、松平はあそこにはおらん。」

 「松平部長はたしか守口のお住まいで、京阪電車をご利用ですが、、、」

 「。松平ぁは、梅田で飲んだら谷町線を使います。昔はそうでした。」 

 「。あの男は二次会は太融寺のほうでするから。」

 「太融寺、ですか。。。」

 小早川ケンタは、松平部長の名誉のためにその先の言葉につぐんだ。

 「あん、男は、無駄をせん男です。」

 島津は小早川の気持ちを知ってか知らずか、そうつぶやいた。
  

 たしかに、割烹「関が原」は松平部長の行きつけの店であるが、この時間であれば既に切 り上げて、二次会に向かっている公算が強い。御堂筋を北へ猛進する島津隊は、国道二号線と交差する二叉路で、大阪人が「シンミ」と呼ぶ新御堂筋に進路を替えた。割烹「関が原」がある北新地方面ではなく、松平部長のもう一つの御用達と言われる、スナック「ゴリラ★チョップ」のある太融寺方面へと向かうためである。
 

ところが、その新御堂筋は悪いことに、年度末の帳尻合わせか、飲酒運転の検問が行われていた。法律的には自転車に乗っての飲酒運転も立派な法律違反である。道路交通法には「車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態にあつたもの」と記してある。実際、自転車での飲酒運転を検挙したというニュースを、小早川ケンタは先日インターネットのトップニュースで見たばかりだった。

 そういえば島津さんはちょっと酒臭いような気がする。いや、単なる口臭か。それにしても大の大人がママチャリに二人乗り。これが警察に咎められないわけがない。小早川ケンタがは恐る恐る島津の顔を覗いた。すると島津という人物は元来からしてまつろわぬ、反権力的な男なのだろうか、なんとこの窮地にむしろ嬉しそうに笑っているのだ。警察への反抗の好機に舌なめずりしている、そんな様子だった。島津はキタの夜空に向かって咆哮した。

 「。ええい!ままよ!!」

 絶叫するや島津はママチャリをさらに加速させ、検問用に設置された斜線の入ったカラーコーンとコーンバーをめがけて真っ直ぐに突進した。・・・乾いた音が響く。虚を突かれて唖然とする警官の顔。振り返る千鳥足の酔客。腕をにしがみつく髭面のオカマ。島津隊に吹き飛ばされたカラーコーンとコーンバーはカラカラと道路に転がった。
 

まさか自転車が検問を突破することなど夢にも思っていなかったのだろう、検問の警官二人は顔を見合したまま、過ぎ去る島津隊を見送ってしまった。が、すぐさま彼らの官憲としての矜持と官僚堅気が作動した。

 「おいッ!そこの自転車!待ちなさい!!」

 警察官は走って島津隊を追おうとしたが、島津隊の姿を見失ってしまった。追う事をあきらめた警官たちは舌打ちして、島津隊が消えた方向を眺めた。すると、対向車のベッドライトを浴びて、島津隊の雄姿が道の向こうに浮かび上がってくるではないか。警官の一人が言った。

 「あいつら、、警察なめてんのか、、、両手放しや。」

 興奮した小早川ケンタは尊敬の表情を浮かべて叫んだ。、

 「島津さぁんて、、、何か凄いッス!」

 「。、、、なあんでも決めたら早くせな。先んずれば人を制すと、言います。」

 小早川ケンタは島津の背中に抱きつきながら島津の訓辞を拝聴した。そして小早川は思った。かの「関が原の合戦」において、西軍に属して敗れた島津軍は、撤退の折りに敵陣のど真ん中を突っ切って退却したのだ。この人、かの島津軍の末裔かも知れない、、、小早川は今度聞いてみよう♪と思った。今の派手な突破劇で、携帯の一件については、しばし忘れることが出来た小早川ケンタであった。

 曽根崎東で右に折れ、真言宗の寺とタイ料理店や廉価な風俗店が並ぶ兎我野町に入り、カップルや酔客をかわしながら、島津が突然ブレーキを踏んだので、小早川ケンタは前のめりとなり、危うくコケそうになった。島津が自転車から急に降りたので、小早川ケンタはスタンドの壊れたママチャリを後部座席から支えることになった。
 

そんなトンマな姿勢の小早川をよそに、島津は厳しい表情で目の前の雑居ビルを眺めていた。スナック、「ゴリラ★チョップ」が入っている雑居ビルについにたどり着いたのだ。因みに「ゴリラ★チョップ」が店を構える雑居ビルは、別名「ジャングル・ビル」とも呼ばれ、「ゴリラ★チョップ」以外に、ショーパブ「アナコンダ」やSMクラブ「ジャガーの館」、人材派遣会社「アマゾネス」の事務所や会計事務所の「羽仁会計事務所」など、正にジャングルとも言うべき雑多な業種が混ぜんと同居していた。カオスシティ・大阪を象徴するビルディンと言ってよい。

 「。小早川さん、着きましたよ。」

 小早川は慌てて、自転車をビルの入り口の横の倒した。島津は一人スタスタとビルの入り口に向かっている。

 「島津さぁん、、、薩摩守どの!待ってくださいよぉ〜」

 島津と小早川は、隔階でしか止まらないエレベータを使って8階まで昇り、そこでエレベーターを降りて階段を使い「ゴリラ★チョップ」のある9階に向かった。ズンズン進む島津の後を追って、階段を駆け上がる小早川ケンタが、8階の踊り場にさし掛かった時、小早川の両目に一面のキタのネオンが飛び込んできた。

 車が行き交う新御堂筋と無数テールランプ。悪趣味なhepの観覧車のライトアップ。東通り商店街から堂山あたりのいかがわしい店舗の光。この大阪の空の下、今日も、そして明日のホワイトデーも、男子と女子がデートしたり、告白したり、果たせるかな、まぐわったりするんだろうなあ、という感慨が急激に小早川ケンタの心に沸いてきた。
 

俺なんで別れたんだろ、、、いわゆる元カノとの切ない過去が去来した。昨日、今日、そして明日。明日のホワイトデーために上司らと自分は何故か必死になっている。ふと、小早川ケンタは人間が愛しく思えた時、何故かその脳裏には本田次長の笑顔が浮かんでいた。

 「。ここか。」

小早川ケンタがあれこれと感慨に耽っている間に、島津隊はスナック「ゴリラ★チョップ」の入口にたどり着いていた。

 扉を開けることに躊躇する小早川ケンタに一瞥をくれ、島津は入口のドアノブに大きく節くれだった手をかけた。ガチャ、「ゴリラ★チョップ」の扉が開いた。店内からは酔客の下品な笑い声とホステスの嬌声、そしてエコーのかかり過ぎたカラオケの音が響いてきた。

 「いらっしゃ〜い」

 「ゴリラ★チョップ」のママの挨拶にも返事せず、島津は無遠慮に店内を見回した。奥の四人がけのボックス席、その横のレザーディスクの古臭いカラオケセット、手前のやや大きめのボックス席、そしてカウンター、、、

 「。松平、、、!」

 カウンター席に座る小太りの後姿が、かつて見慣れた松平部長のものであることを確認した時、島津は言葉を失った。両手を腰のところで当てたままで、固まって動かない島津の脇の隙間から小早川ケンタが店内を眺めると、カウンター席には松平部長と、なんと企画室の紅一点、今般の騒動の震源地、おトヨその人で座っているではないか!

 しかも二人の肩は触れ合わんばかりの距離で、それはこの二次会の盛り上がりを想像させるにあまりあるものだった。さらにおトヨの手元に目をやった島津と小早川は目を見張った。なんとそこには、愛らしいリボンにくるまれた長方形の箱があるではないか!箱の小ささがかえって高級感を漂わせる、ホワイトデーのお返し、、、。
 
中身は貴金属の類だろうか、いずれにしても一日早いお返しと二人だけのホワイトデー・イブである。腰から手が離れ、島津の拳がワナワナと震えいるのに、小早川ケンタが気がついたが、時すでに遅しであった。振り向いて小早川ケンタをブン殴り、島津はうめくように言った。

「マ・ツ・ダイ・ラァァ、、、キサマ、また抜け駆けかあ!!」

 今は警備員をしている元企画室長の島津義男が若かりし頃に松平部長と職場のマドンナを争ったことを小早川ケンタが知ったのは、この後のことである。島津の中途退職が松平部長との確執に原因があったのか、これについては現在でも社内では諸説ふんぷんとしている。

 島津の叫び声に、おトヨに向かって半身になっていた松平部長がこちらを向いた。見慣れたタヌキ顔はいい感じで酔いが回り、ひょうたんの徳利を持った信楽焼きのタヌキを思わせた。松平部長はバーボングラスを軽く上げてこう言った。

「あ、シマヅ、、、さん、一緒にやります?」

 その柔和な声の誘いがけは、勝者から敗者に向けられた、圧倒的な勝利宣言であった。

 バシャ!殴られて床に這いつくばったままの小早川ケンタの目に飛び込んできた帽子。去り際に島津が警備会社の制帽を叩きつけたのは、もう会社には戻らないという意味だろう。決して当世流行のコメディアン、上島竜平のモノマネではない。バタン!!島津が怒りにまかせてドアを閉めた音が響いた。

 島津が去り、その場に取り残された小早川ケンタは、松平部長が肩をすめて両手を広げる、いわゆる外人ポーズをとって、おトヨの方に向き直ったのを這いつくばったまま確認した。「親にも殴られたことのないのに!、、、」と、殴られて焼け焦げるように熱い頬を手でいたわりながら、小早川ケンタはサラリーマン生活の中で、何が一番重要であるかを悟ったような気がした。
 

「疾きこと風のごとし」戦国時代の名将武田信玄が傾倒した、中国の【孫子】の言葉であるが、何事もスピードが大事なのである。勝者は常に早く、そして抜け駆け野郎だ。部下の女子社員の前で鼻を長くしている手の早いこの初老の男こそ、ビジネスの、否、人生の最終勝利者なのである。誰がリクエストしたのだろう、スナック「ゴリラ★チョップ」には、上司と女子社員の定番、「銀座の恋の物語」が流れてきた。

 「世の中、少しもよくなってないじゃないか、、、」

 小早川ケンタの泣き出しそうになりながらうめいたが、その小さな嗚咽は、やけにしっとりとした、おトヨのカラオケ用の声にかき消されていった。

 「心のぉ〜奥までぇ〜♪・・・」

 この平成某年3月13日夜の出来事は、「仮名手本・ホワイトデーお返し蔵」という名で、現在でも歌舞伎や浄瑠璃の人気の演目として受け継がれ、今日に小早川ら男子達の悲劇を伝えている。(了)


〜 これまでのあらすじ 〜
 職場の全員がもらったバレンタインデーの義理チョコ。職場の男子全体で、一括してお返しするのか、個々にお返しをするのか。会議は紛糾し、挙句に課長vs係長の対立の構図が見えてきた。ホワイトデーのお返しは職場を分断しかねない、新人の小早川ケンタは松平部長に裁可を仰ぐべく、部長の居場所を知る男に会いに行った・・・

 小早川ケンタが詰め所に行くと、そこには、一人正座をして腕組みしながら、恐ろしく険しい表情で「ナイト・イン・ナイト」を見ている初老の髭面があった。彼こそが元企画室の室長、今はこの会社の警備員となっている島津義男、その人であった。

 夜の娯楽番組をほとんど怒っているような顔で見ているのは、きっと、元来がそういう顔つきなのであろう。小山のような肉体、魁偉なその容姿に、小早川ケンタは圧倒された。が、萎縮ばかりしていては役目を果たすことが出来ない。

 「あの、島津さんですか?」

小早川は声を掛けた。島津は小早川に向き直るこもなく、一呼吸おいてこう応えた。

 「。いかにも、わしは島津義男です。」

 「島津さん、あの、企画室の小早川と言いますが、少し教えて欲しいことがありまして、、、」

小早川は職員IDの示しながら、こう切り出した。

 「。ふん、企画室か。企画室のお方が、この島津に何を聞くとですか。」

 島津はまた一呼吸おいてそう言うと、リモコンでTVの電源を切り、正座したまま膝を使ってはじめて小早川の方を向いた。威圧的に見える両の腕は組まれたままで、あたかも口をへの字に結んでいるように見える。いや、組まれた手は毛むくじゃらなので、口髭のある口をへの字に結んでいると言ったほうが、より描写が正確かもしれない、と小早川ケンタは思った。

 が、今はそのようなことが重要なのではない。組まれた腕そのものが島津の小早川への返答であり、小早川の用件、すなわち松平部長の居場所にあたりをつけるという依頼を快諾するようには見受けられないのだ。小早川は交渉の困難さを想像した。と、その時、小早川ケンタの目に詰め所の壁に掲げられた阪神タイガースのカレンダーと、その横に「夢」と筆字で書かれた色紙が目に入った。
 

この色紙、きっと阪神の選手のサインに間違いない!しめた、これは使える!と小早川ケンタは思った。オッサンと阪神、これは関西においては絶対の組み合わせであり、小早川は島津との距離を一気に詰めることができると確信したのだ。

 「あ、すげぇ、阪神の(ムニャムニャ)のサインだ!今年の阪神、どうですかねぇ〜!?」

 固有名詞を知らない場合、早口でムニャムニャ言って通じさせるのが、小早川ケンタの常套手段である。これは彼がビジネスで養った一つのスキルを言ってよい。

 島津は、ちらとサイン「夢」を振り返り、こう言った。

 「。あれは、わたしのものではなか。」

 島津はまた一呼吸おいてそういった。必ず話す前に一呼吸おくのは、あたかも翻訳をしながら話しているような印象があった。

 「あ、、、そうですか、、、」

 小早川ケンタはしくじったと思った。宿直に詰める警備員は何人もいる。「夢」はそのうちの誰かのものだろう。小早川ケンタはこの誰かを心の中で恨みがましく非難した。大体、職場にサインを飾るなどとは不謹慎であると。しかしそう考えたところで、小早川の今の窮地
に変わりはない。小早川のアテは完全に外れたのだ。島津は虎党ではなかったのである。

 小早川は島津に取り付くシマを完全に失ってしまった。が、これは結果的には幸運だったというべきかも知れない。そもそも小早川ケンタはスポーツ音痴であり、阪神タイガースについても球団名、監督名等の基本的な情報しか知らないのだ。もし島津が熱烈な阪神ファンであったなら、たちまちチグハグな会話となり、小早川のにわかファンぶりはすぐに露呈しただろう。小早川ケンタには、浜中選手と林選手のポジション争いについて所見を述べることなど出来ないのである。

 いずれにしても進退窮まった小早川。この際は、と彼は持ち前の性格で正直にこう言った。

 「スイマセン、実は、僕、野球は詳しくないんです。エヘへ。」

 そう言われた島津は意外にも小早川に向かって微笑んだ。

 「。わたしも野球は詳しくなか。野球は嫌いです。」

 島津がはじめて笑った。笑った瞬間に開いた島津の鼻の穴から、鼻毛が少し覗いた。小早川ケンタには、大事な時に瑣事を見逃さないという妙な才能があった。
 

あ、机にクロスワード・パズルの雑誌が置かれている。これこそが島津さんの私物だったのかも知れない!え、この雑誌、、今は三月だから、、普通「四月号」なのに、え!「十二月号」?、あれ、5ヶ月もかけてクイズ解けてないの!?小早川は、頭の中にとめどもなく無意味な空想が駆け巡ってしまい、しばし口をつぐんでしまった。

 若い小早川が沈黙しているのを見て、島津は小早川が萎縮して黙り込んでいる(実際には、くだらないことをあれこれ考えいている)と思ったのか、島津からこう切り出してくれた。

 「。で、企画室の小早川さんにわしは何を教えればよか?」

 への字に組んだ両の腕は、かるく拳を作り、両膝の上にあった。小早川は我に返り、企画室内が紅一点からもらったバレンタインのチョコレートのお返しを巡って紛糾しているということ、ついては松平部長に会って企画室全体としての結論を決めてもらうということを手短に話した。島津は黙って小早川の説明に聞いていたが、話が終わるとこう言った。

 「。松平、、部長の居場所か。」

 島津は松平部長の名前を呼び捨てにした上で、役職を取って付けたような言い方をした。小早川はこれに違和感を覚えたが、松平部長と島津は旧知の間柄ということだから、親しさからそのような言い方になったのだろうと小早川は一人で合点した。

 「。よかですよ。わしが松平ぁ、、部長んとこ、連れて行きます。」

 と言って、制服のコートを着、制帽を被って島津は詰め所から出てきたかと思うと、廊下の奥の非常出口に向かっていった。小早川ケンタは島津についていった。

 非常出口の横に立てかけられていた、古臭いママチャリ、スタンドが壊れてしまっているので壁に立てかけられているのだろう、ビニール傘が斜めに挿してある、その自転車にひょいとまたがると、島津は小早川に振り向きながら親指で後部座席を指差した。二ケツするというのだ。

 「あ、え、島津さん、警備の方は、、、」

 小早川の問いに、島津は答えた。

 「。警備員はもう一人詰めておるので、問題なか。松平、、部長がおる所はだいたい想像がつきます。」

 「。若いのに何ば言っとっとだ。なあんでも、早くせんと。」

 島津はそういうと再度親指で、小早川に二ケツを促した。その指の動きが最初の時に比べてやや激しかったので、小早川は「ヤバイ!怒られるかも!」と焦り、社会人にしてママチャリに二人乗りするというハメになった。

 二ケツママチャリの島津隊が北浜にあるビルの裏門から出陣したのが午後10時15分。早くしないと松平部長は帰宅してしまうかも知れない。焦る小早川の気分を察してか、島津はしばらくすると、いわゆる立ちこぎの状態となり西へと急ぎはじめた。
 

島津隊が京阪淀屋橋駅付近にさしかかった時、小早川ケンタの携帯電話が揺れながら鳴った。職場関係の人間用に割り当てられている愛想のないビープ音。その主は、本田次長であった。

 「あ、もしもし、お疲れ様です、小早川です!」

 「あ、も、もし、本田で、」

 「あ、本田次長、お疲れ様です!」

 「、今、いい?、、」

 「はい、何とか。」

 「、、、の、件、合わなくて、部長、、探さなくて、、よ」

 「え!?何ですか?非常に聞き取りにくいンですけど、、、」

 本田次長から電話が遠い。小早川ケンタは片腕を島津の腰に回し、もう片手で携帯電話を持ちながら、本田次長の話に耳を澄ました。どうも本田次長は自分に松平部長を探すなと言っているようだ。あるいは、松平部長を探したが見つからなかったので、ホワイトデーのお返し方法を決めてもらえなかったということにしろ、と命じているようなのだ。

 実はこれが本田次長の秘策、つまり小早川ケンタを一本釣りで寝返らせて、松平部長を探させないという作戦であった。ホワイトデーのお返しはこの際は度外視して、松平部長を、ホワイトデーのお返しに端を発して噴出した、企画室内の課長vs係長の対立に巻き込ませないという、組織の秩序の為の最後の努力であった。
 

しかし、その執念も不幸なことに本田次長の携帯電話がPHS方式のものであったことが命取りとなった。通話が順調でないように見える小早川ケンタから、島津は突然半身になって携帯電話を奪い取った。

 「。本田クン、わしです、島津です、、、もう何の心配もいらん、松平ぁんとこにアンタのとこの若い衆を連れて行く。」

 「薩、、守、、殿!お久、、本田で、、る!あいや、その、件、、」

 本田次長が食い下がろうしたが電波状態が悪い。しばらく耳を澄まして聞いていた島津であったが、音声の悪さに根を切らしたようで、携帯電話に向かって叫んだ。島津はどうも操状態のようである。

 「。男は四の五の言わんとだ!!」

 島津は一方的に本田次長にそう告げると、手に持っていた携帯電話を天高く空に投げ上げた。携帯電話とストラップは夜空にきらめいて美しい弧を描いて対抗斜線を越え、淀屋橋から土佐堀川にポチャと小さな音を立てて沈んでいった。もう賽は投げられたのだ、島津はそう言いたかったのかも知れない。

 「あー!!それ!オレの!ケェータイ!!」

 小早川ケンタの悲鳴はキタの夜に吸い込まれていった。

(次回が最終です。)


 小会議室に突如流れたYOU ARE MY SUNSHINEは【猪武者】福島課長の着メロだった。福島課長は慌てて電話を取り、椅子を蹴倒して部屋の奥にと小走りで向かい、大きな背中を丸めて弁解めかしい様子で電話に応対した。

 あたかも得意先に接するがごとく、声のトーンも一段上がった様子で、繰り返し「はいッ、はいッ」と頷く福島課長を見て、会議室の一同は業務に関連する連絡かと想像したが、若き事情通、小早川ケンタだけはその真実を知っていた。

 電話の主は、他ならぬ福島の若い妻であった。以前、小早川ケンタは、福島課長のご相伴にあずかった宴席の二次会で、けたたましく、そして繰り返しYOU ARE MY SUNSHINEが福島課長の携帯電話を鳴らしたのを聞いた。その穏やかな曲調ながら、ほとんど脅迫のような頻度で響くサウンドが、妻からの今すぐ帰れコールであることを小早川は福島課長当人の口から聞いたのだ。

 「たかだか午後10時に帰宅していないだけでこの激しさときたら、陽気な日差しどころか、まるで灼熱の太陽ではないか」と若い小早川は思ったが、彼は夫婦関係というものが個別的なものであり、各々の家庭のローカル・ルールによって営まれるということを充分には了解していなかった。

 福島課長がホワイトデーのお返しを職場全体として一括で行うことに執着するのは、妻の顔色を伺うという側面もあるのではないかと小早川は思った。若い女子社員に、職場の皆でホワイトデーのお返ししたのだと言ったほうが、妻の妬心を抑えることが出来るのではないか。

 小早川ケンタがあれこれ考えていると、会話を終えた福島課長が振り返り、不似合いに可愛らしいストラップの付いた携帯電話を握り締めながら、会議室の一同を睨みつけて、こう叫んだ。

 「もぉう!早く決めようよ!!」

 その【猪武者】には似つかわしくない金切り声は、ほとんど哀訴の色を帯びていた。この必死の一言によって、一括、分割の両派及び本田次長も含めて、「部長の判断によりお返しの手法を決する」ということで意見がまとまった。

 「それでは、」と石田係長が携帯電話を手にし、松平部長に連絡を取ろうとした時、「待たれい!」と本田次長が一喝した。

 本田次長は、携帯電話なぞを使って部長とトークするとはもってのほか、非礼、不敬であるとした上で、こう提案した。

「事が事である。これは松平部長に直接お会いした上で、会議の経過を報告し、裁可を仰がねばならん。」

 本田次長が最後まで執着したのは、ホワイトデーのお返しを巡って企画室内が混乱し、果ては派閥に分かれて争いかねない状況を、松平部長によって決定的なものにしてしまうことだった。もし、この場で松平部長に電話をすれば、部長は一括、分割のいずれかを即断することになるだろう。そうなると、一方の派閥が錦の御旗を手にして企画室は完全に分裂、すなわち長年くすぶってきた課長vs係長の構図が露なものとなってしまうのだ。

 たかだかホワイトデーのお返しではないかと言うこと無かれ。女子に関わる職場の人間関係は微妙であり、そこには上下関係を超えた、いわば雄と雄の世界が存在する。これは、スマートを旨とする企画室においても例外ではないのだ。

 職場の実質上の支配者、本田次長は常に企画室内のパワーバランスに細心の注意を払ってきたが、彼には企画室内にくすぶる火種が、いよいよ発火点に近づいているように思えてならいのであった。
 

因みに、この本田次長の憂慮はこの後に現実のものとなる。キュートな派遣女子社員を
巡って「歓迎会・二次会事変」がぼっ発し、世にいう「GW・テニス合宿五月騒動」へと事態は展開して、企画室内に血の雨が降ることになったのは、このホワイトデーの一件の1ヵ月後のことなのである。

 その話はさておき、本田次長はどのような手を使っても、職場の分裂と部長の引責を避けねばならなかったのだが、彼は心にある策を秘めていた。

 時計の針は午後十時を指そうとしている。話し合いが始まってから概ね四時間が経過し、ようやく部長に会ってお返しの方法の判断を仰ぐ使者の選任に至った。

 「さて、誰が部長に伺うのか、、、」と加藤課長代理が切り出したが、答えは既に出ていた。

 この状況において松平部長に報告と決裁を仰ぐのは、中立の立場の者がふさわしい。というのが、一方の派閥の者が使者となれば、自派に都合のいい報告を行い、松平部長を自分達にとって都合のいい結論に導くことが考えられるからだ。組織の長が下す結論は、報告者によって既に決している場合がままある。

 だからと言って、二派から一人づつ人を出すというのも、険悪になった雰囲気からは中々難しい。そうなると中立の立場にある三人、すなわち前田課長と新人の小早川ケンタ、そして後から会議に加わった本田次長の中から使者を選ぶことになるのだが、子どものように拗ねてしまい、手遊びばかりしている前田課長にこの大事を頼むことできない。

 また、重要な役割とは言え本田次長に使い走りをさせるわけにもいかなかないので、必然的に小早川ケンタにそのお鉢が回ってきた。

 「では、小早川殿、おぬしが部長の所に行ってくれるな。」

と、上杉係長が怒ったように言った。この御仁は基本的に気が短い。

 「はい。あ、でも僕、部長が今どこにおられるか分からないンですよぉ。」

たしかに新人、小早川ケンタが部長のアフター5の行動を知る由もない。

 「きっと飲みに行ってるか、」

福島課長の携帯は未だブルブルと奮えている。

 「自宅に連絡するわけにもいきませんしなあ!」

と、石田係長はニヤニヤしながら大きな声で福島課長の発言を遮(さえぎ)った。

 以前、就業時間後に石田係長が前田課長の自宅に連絡をして、前田課長の偽りが奥方にバレかけた一件を語り、前田課長に暗に圧をかけたのである。
 

その時、前田課長の手遊びは一瞬止んだが、しばらくしてまた始まった。石田発言に反応したというよりは、指のささくれを引っ張って痛かったのだろう。証拠に前田課長は無心に右の薬指をなめている。

 話はやや逸れるが、職場から自宅に所在を聞くのはタブーであり、また自宅から職場に連絡があっても、居場所をあいまいにするのが男子社員の暗黙のルールとなっている。以前、自宅からいつ電話を受けても「イベントのスタッフ弁当を買い出しに行っておりまする。」と返事して、「うちの主人は50にもなって、いつも弁当の買出し担当ですか!」と、ある次長の奥方に職員が怒鳴られたということがあった。爾来その次長は、【弁当次長殿】と、あだ名された。

 「島津殿だ、島津殿は部長と古い。島津殿なら部長の居場所を知っているかも知れない。」

手遊びを止めた企画室最古参の前田課長が提案した。

 小早川ケンタは、夜勤の警備員に元企画室の職員だった島津という人物がいることを知っていたが、会ったこと面識はなかった。ただ、どうして企画室にいた人間が委託の警備会社の勤めているのか、以前から少し興味を思っていた。

 「薩摩守(島津のこと)なら宿直にいるだろう。」

 本田次長も島津氏に松平部長の居場所を聞くことを同意したようだ。

次回に続く (次回は感動の最終話、はたして男子達のホワイトデーはどうなるのか!)


 本田次長がこの混乱、すなわち「ホワイトデーお返し調整会議」の一括お返し派と分割お返し派の分裂をまとめるべく、会議に合流して既に、一時間が経過した。地元の酒屋から寄贈された古臭い時計の針は、午後九時三十分を指そうとしている。
 
理論派で知られる本田次長の精緻を極める調整は、皆の予想どおりかえって紛糾に拍車をかける結果となった。完全に二分された議論をまとめるために本田次長に求められたものは、四の五の言わせない命令調の断定であった。

 が、理論派はホワイトデーのそのものの意味合いから説き始め、一括対応が妥当なのか、分割対応も可なのかを演繹的に証明しようとした。しかし如何に合理的な本田ロジックであっても、要するに贈り物の受けての側、つまりおトヨの気持ちは憶測でしか想定できない弱みを持っていた。このような場合には、何が正しいお返し手法なのかを論じても詮(せん)の無い話なのである。

 再び会議室が静まりかえる中、会議をさらに混乱させ、完全に暗礁に乗せあげてしまった本田次長に配慮して、その場の緊張をほぐそうと試みたのか、ウンチク好きの小早川ケンタはバレンタインデーの逸話、すなわち殉教者・聖バレンタインの悲話を語りはじめた。

 「あの、、、バレンタインデーってもともとはローマ皇帝が、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の婚姻を禁止したんですが、キリスト教の司祭だった聖バレンタインは秘密に兵士を結婚させたそうです。」

 「そして聖バレンタイン捕らえられ、処刑されたそうです。その処刑の日が2月14日だったということで、この日が祭日となり、恋人たちの日となったということらしいです。」

 「つまり、バレンタインデーは、愛のために殉死した【愛戦士】、バレンタイン司教の勇気と誠意を称える日なんです。」

 【愛戦士】とは、映画版の機動戦士ガンダムの第二部【哀戦士】をもじったものだろうが、そんなことは大の大人達にとっては、どうでもよいことであった。ともかくテキトーにホワイトデーを済ませたい加藤代理は、後輩の長口舌をにがりきった様子で眺めていたが、豆知識好きという意外な一面を持つ過激派石田も、あきらかに不快げな顔をしていた。

 石田は、小早川の話が、まるっきりインターネット辞典、ウィキペディアの受け売りであることに腹を立てていたのだ。石田にしてみれば、小早川の知識の薄さも不愉快だが、後輩ぶぜいがほざく程度のホワイトデーに関する知識で満足していた自分が恥ずかしく感じられたのだ。バレンタインデーのしばらく前、石田もウィキペディアにアクセスして、ウンチクの披露の機会を待っていたのである。

 しかしこのケンタの小噺を最も憎らしく思っていたのは、赤面の中年、前田課長であろう。本田次長の調整と小早川発言で、ゆうに一時間半は費やされ、彼が一ヶ月間温めて来たスペシャルなお返しの買出しには、もう間に合わなくなってしまったのである。彼は仕事同様、すっかり捨て鉢になってしまっていた。

 ともあれ、結果として小早川ケンタが話した愛に命を捧げた偉人の挿話、すなわち聖バレンタインのケッコウな【誠意】のお話が、この場においてはホワイトデーのお返しというものを、けっして軽軽しく扱うことは許されない重みを持つものにしてしまった。

 小早川ケンタが場を和ませるために聖バレンタインの話をしたのであればそれは大失敗であったし、また単なる気まぐれであれば、図らずも会議の終着点を抜き差しならないものにしてしまったのである。
 是か非か。ホワイトデーお返し調整会議は、一括か分割かの白黒をハッキリつける以外の結論は無くなってしまったのである。古今東西、歴史とは案外と気まぐれによって決するのである。

 「もはや議論は尽きたように思い申す。この際、松平部長に一括、分割の裁決をいただこうではござらんか」

 と、義の人、上杉係長が提案した。会議が完全に麻痺した以上、お上に裁可を仰ぐべしというのは、組織、上下関係を重んじる上杉係長らしい提案であったが、同時にそれは妥当な提案でもあった。
 
 「うむ、それがよい、そうしよう、そうしようゼ!」既に捨て鉢になっている前田課長と、もう、どうしようもなく面倒くさくて、さっきからグッタリしてる加藤代理が救われたように同意した。一括お返し派の巨魁、福島課長は一瞬、「対立者からの提案なぞ受けぬわ!」と言いたげな表情をみせたが、完全に煮詰まった状況から脱するには上杉提案を拒むことは出来なかった。が、これに反発したのが、本田次長であった。

 本田次長としては、松平部長に裁可を仰ぐことだけは是非とも避けたかった。松平部長にゲタを預けることは、自分の調整能力を疑われるばかりか、結果として松平部長に、一括、分割いずれかの派閥の味方をさせることになる。一括、分割の対立はホワイトデーのお返しにとどまらず、課長級と係長級の対立が背景にある。これに部長を巻き込みたくなかったのだ。
 
 部長は君臨すれど統治せず、これが企画室の伝統なのであり、この特異な支配形態が部長という組織のシンボルを傷をつけずに済む知恵であることを企画室の最古参、本田次長は知り尽くしていた。

 「部長に聞くのはマズかろう」

 努めて冷静に本田次長は言った。

 「ホワイトデーのお返し云々について、部長にご相談するのも如何なものかな。第一部長が、、、」

 「いや、部長もチョコもらってたんで、お返しに参加したいんじゃないですかねえ。」

 本田次長の言葉をさえぎったのは、小早川ケンタである。若さとは、恐れを知らないものである。たとえインフォーマルなものとはいえ、ホワイトデーお返し調整会議は、企画室内の大事を決する会議である。その中で本田次長の発言に反論したのだから、会議室の一同は驚いた。

 「さっきはフォローしようとしたかと思えば、今度は反論を、、、コイツ俺の敵か味方か?」

 新人にあっさりと反旗を翻された組織のNO2、本田次長は心の中で舌打ちをしたが、部下の管理職の手前、新人の発言には寛容に振舞わざる得なかった。

 「なるほど、、、ケンちゃんのも一理あるね。」

 小早川ケンタを「ケンちゃん」と呼ぶのは職場ではおトヨのみである。時々前田課長が宴席で「おい、ケンチャナヨ」※1と小早川ケンタに呼びかけることがあるが、これはハングルをちょっと知っているゾと韓流好きの女子にアピールするためである。決して小早川への親しさからではない。

※1 韓国語で「気にすんな」の意

 それはさておき、その後、本田次長は完全に黙りこんだ。それは新人に言い返されたことが、バツが悪かったという以上に、今後、この新人をどのように扱ってやろうかということに関心事が移ったからである。執拗な男は常に思考を止めないのである。

 いずれにしても本田次長を除くすべての会議参加者が松平決裁を求めることに同意した。

 「では如何にして松平部長と連絡をとり申す?」

 と、石田係長が皆に問うた時、突然、古いアメリカンポップス、YOU ARE MY SUNSHINEが小会議室に鳴り響いた。猪武者、福島課長の表情がにわかに変貌した。

次回に続く

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