移民に扉を開く日本と移民に壁を築く西洋 Kindle版2019年7月現在の移民・難民をめぐる世界情勢を概観すると、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドなどの諸国で異なる人種と宗教に対する排他的な考えが勢いを増している。反移民主義者や人種差別主義者が闊歩し、反人道主義勢力が世界各国を席巻する時代にしてはならぬと決意を新たにする。
しかし、移民鎖国のイデオロギーを墨守し、惰眠をむさぼっている日本の国のあり方こそ、よほど大きな問題である。移民政策で悪戦苦闘する先進国の中でひとり日本が移民鎖国の温室のなかでぬくぬく生きる時代は終わった。もはや一刻の猶予も許されない。人口危機が深まる一方の日本丸は沈没寸前の危険水域に突入した。 それどころか最近の私は、もはや何もかも遅きに失し、仮に移民開国をして移民政策をフル回転させても日本再生の夢はかなわぬと絶望的な気持ちに襲われる。 たとえば、新生児の数が年間100万人を切った国の社会・教育・産業・財政・安全保障などがどうなるかを正視してはどうか。超少子化の進行による地域社会の消失・教育制度の崩壊・企業の倒産・国の基本制度の瓦解という事態が深刻の度を増すのは火を見るより明らかだ。 政治家は移民の助けを求める国民の切実な声に耳を傾けるべきだ。政府は早急に移民開国を決断すべきだ。国民は「社会の一員として移民を温かく迎える日本」をつくる覚悟を決めるべきだ。 出生者人口の激減で大量の移民を最も必要とする日本が、50年間で1000万人の移民(難民を含む)を受け入れると、世界の人たちと約束する時がきた。世界の人びとは、移民・難民に寒風が吹き荒れる中、「人種や宗教の違い乗り越えて人類が一つになる移民国家の理念」を掲げて立ち上がる人道移民大国の出現に歓呼の声をあげるにちがいない。 著者略歴 坂中英徳(さかなか ひでのり) 経歴 1945年生まれ。 1970年、慶応義塾大学大学院法学研究科修士課程修了。 同年法務省入省。東京入国管理局長を歴任。2005年3月退職。同年8月に外国人政策研究所(現在の一般社団法人移民政策研究所)を設立。 法務省在職時から現在まで、在日朝鮮人の処遇政策、人口減少社会の移民政策など一貫して移民政策の立案と取り組む。近年、50年間で移民1000万人を入れる「日本型移民国家の構想」と、全人類が平和に共存する「人類共同体構想」を提唱している。現在、一般社団法人移民政策研究所所長。 主要著書 『今後の出入国管理行政のあり方について』(日本加除出版、1989年) 『入管戦記』(講談社、2005年) 『日本型移民国家への道』(東信堂、2011年) 『人口崩壊と移民革命』(日本加除出版、2012年) 『日本型移民国家の創造』(東信堂、2016年) |
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