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三国志の英傑曹操(155年〜220年)は、”治世の能臣、乱世の奸雄” と評された。
後漢末期の魏の創設者で武将、政治家、詩人、兵法家として業績の残した。
詩人とあるのは、建安文学を築いたことでの評価である。”建安文学(けんあんぶんがく)
は、中国の後漢末期、建安年間(196年 - 220年)、当時、実質的な最高権力者となってい
た曹一族の曹操を擁護者として、多くの優れた文人たちによって築き上げられた、五言詩を
中心とする詩文学。”と辞書にある。当時、楽府(がふ)と言う役所があり、巷の歌謡を集め
ていたが、次第に曹操の五言詩歌などはみんなで歌う詩歌形式そのものを指すようになっ
た。この歩出夏門行は、建安12年(207年)の秋に烏桓に進出した時(白狼山戦い)に
作った詩で、最後の「神亀雖壽」の一首である。
その中の ”いさましきおのこは年老ゆるともたけき心の已むことなし” には、感嘆しかない。
1800年の昔の曹操の詩が理解できることも素晴らしいと言わざるを得ない。
何故ならば、卑弥呼の時代のことで、詩歌はおろか文字も使いこなせていなかったから
である。
《2019.8.26 周南市 東郭》
歩出家門行(一部) 曹操
神亀雖寿 ふしぎなかめは、いのちながしというも 猶有竟時 いつかはおわる時あらん 騰蛇乗霧 空にのぼる蛇は霧に乗るも 終為土灰 やがては土灰となりはてん 老驥伏櫪 老いたる駿馬はかいばおけに伏すも 志在千里 千里のかなたに夢を馳す 烈士暮年 いさましきおのこは年老ゆるとも 壮心不已 たけき心の已むことなし 盈縮之期 長く短く定めなき命の期 不但在天 されどただ天運とあきらむな 養怡之福 身も心も安らかに養えよ 可得永年 とわなる命得べからん ※ この日訳は、素晴らしい。竹田晃(東京大学名誉教授)によるもので、日本の中国文学研究
の第一人者である。例えば、「不但在天」は、”だた天にだけあるのではない” と訳すのが
一般的だとおもうのだが、先生は、”されどただ天運とあきらむるな” です。この訳を読ん
で、やはり日本語は、素晴らしいと感じ入りました。恐らく、中国人も此処迄心の機微を
感じ受け取る人も少ないのではなかろうか。
最後に”烈士暮年壮心不已” は、”いさましきおのこは、年老ゆるともたけき心の已むこと
なし” です。私をはじめ、私達年代には充分共感できるものがあると思います。
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